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会議終わりの中庭。とある国が日本に駆け寄った。
「日本!」
「ああ、イタリア君。お疲れ様です」
「日本こそ!今日はホスト国だったでしょ?ということで、パスタとかピッツァとか作ってお疲れ様会!とかどーお?」
優しい響きを持ったその言葉に、日本は自身の頬が緩むのを感じた。
「せっかくのお誘いですけれど、私は遠慮しておきます」
「うー、そうでありますか…」
悲しそうな顔をさせてしまったな、と日本は俯く。本当に申し訳ない、と唇を噛んだ。
けれど、この世界を諦めてしまった私と貴方では、共にはいられないのだ。
「あの、イタリア君……」
「なぁに?」
首を僅かに傾けた彼の前で、日本は少しだけ微笑む。
「いえ。また会いましょう、イタリア君」
「…うん、またね!日本!」
『“もし私がこの
遠ざかる彼の背中にふと目をやった。自分がこの問いをイタリアに投げかけていたら、彼はどう答えたのだろうか。
今となっては、彼の大切な兄は、親友はもうこの世界にはいない。明日には、彼の友人も皆、この世界から消滅するかもしれない。
だからこそ、日本は問おうとした。己がいなくなることで、彼に影響はあるのだろうか。
「ドイツさんは、何をなさってますかね。プロイセン君と仲良くやってるんでしょうか」
沈黙。
まるで映画のワンシーンを切り取ったかのようだった。
遠くの空で雷鳴が轟き、やけに生暖かい風がその場を揺らす。
まるで
それでも、国は記憶を頼りに最善を尽くす。国も、地域も、一部の国民達も共同で、全力で事象の解決に取り組んだ。でも、ここまでやっても解決の糸口が見つからないなんて、もうそれは、つまり。
世界は堕ちた。国は滅んだ。滅び、朽ちた国ではもう人は暮らせない。
初めは、小さい国から。そして次に、経済などの環境が芳しくない国。さらには政治の不安定な大国まで。
まだ被害の出ていない大国たちが怯え、病むのも無理はなかった。
……いつかは、自分もいなくなる。
日本は
空には、雨雲がみるみるうちに広がっていた。かと思うと、雨が足元に黒い染みを形取る。
屋内へ走り出した日本の足元で、泥が跳ねた。
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蟻。 - 三六 月さん» すみません!うわ、今気づきました…。ご指摘、ありがとうございます!更新頑張ります! (2022年12月6日 21時) (レス) @page1 id: 7989c22791 (このIDを非表示/違反報告)
三六 月(プロフ) - 初コメ失礼します!とても、面白いです。あの、ルビ振りの所が気になったんですけどしてる方以外は消した方がいいかもです...そういうものでしたらすみません!更新頑張ってください! (2022年12月6日 20時) (レス) @page2 id: c56d0b069e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蟻。 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年12月6日 16時