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国の化身が集う、世界会議。
にぎやかだった会議室には沈黙が訪れ、席にも空きが目立つようになっている。あれほど踊っていた会議はもはや存在しなかった。様々な要因が積み重なり作用しあい、これまでに幾つもの国の化身が消えていった。

主催国である日本は、空席を見やりながら挨拶を続けた。



「本日は足元の悪い中、お集まりいただきありがとうございます」



ここ最近はずっと同じような天気で、こんな時候の挨拶などは意味をなさないけれど。


「またこうして、ここに集うことができたことを、心より嬉しく思います。つきましては、この会議が有意義なものになることを願い、開会の挨拶と致します」



どうでもいい挨拶、すぐそこに迫る終末に備えようともしない上司たち(お偉いさん)。もはや世界会議に意味などない。こんなものでは、国の消滅は防げやしない。

……そういえば、最初に消えてしまったのはどなたでしたっけ。

物思いに沈んだ日本を心配する声が上がる。それらに笑みを返し、彼は宣言した。

「それでは、世界会議を始めます。議題の提示をお願いします」


日本が椅子を引くと同時に、一国が席を立つ。プレゼンの声が響く室内で、日本は軽く瞠目した。

今日の世界会議は、前回から1ヶ月ぶりのもの。つい1週間前に招待状を送ったのにも関わらず、空席が二つ並んでいる。それがさらに深刻さを加速させた。日本が『初めに消えた国』を気にするのも無理はない、そんな空間だった。


「プロイセン君」

ぴり、と空気がこわばった。国家たちが顔を見合わせる。
知らずのうちに言葉を発していたことに気づいた日本が、あ、と眉を寄せた。その反応を見てアメリカがくるっと椅子を返す。

「……Hey,日本。今なんて言ったんだい?発表者の彼に何か質問でも?」
「え…?あ、ああ。いえ、何でもありません。続けてください」
「OK」

何の話だ、とざわめく周りを気にも留めず、アメリカが議論を促すように視線をやった。

「君、早くプレゼンを進めてくれるかい?さっきのは俺の勘違いだったんだぞ」

「あ、はいっ!」

にこやかながらも、有無を言わせぬ様子のアメリカに国々が口を噤んだ。
意味のない会議はなおも続いていく。

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蟻。 - 三六 月さん» すみません!うわ、今気づきました…。ご指摘、ありがとうございます!更新頑張ります! (2022年12月6日 21時) (レス) @page1 id: 7989c22791 (このIDを非表示/違反報告)
三六 月(プロフ) - 初コメ失礼します!とても、面白いです。あの、ルビ振りの所が気になったんですけどしてる方以外は消した方がいいかもです...そういうものでしたらすみません!更新頑張ってください! (2022年12月6日 20時) (レス) @page2 id: c56d0b069e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蟻。 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年12月6日 16時

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