しあわせの味 。 ページ10
※ 今回のお話には卒業済みライバー樣が出てきております。
きらきら光るショーウィンドウ。
その中に眠ってるかわいいかわいいケーキ達は今日も誰かに食べられる為に待っている。
『 それにしても、奢ってもらっていいの!? 』
「 いいって言ってるでしょ。早く選んで 」
『 はぁい 』
無愛想に早く、と急かしてくるのはまゆくん。
ふわくんとあきなと三人でユニット組んでるメッシャーズ、わたし好きなんだよなぁ。
なんて考えながら無難にショートケーキを選ぶ。
「 それでいいの? 」
『 え〜〜それで、っていうかなんでもいいよ!だってまゆくんと一緒に食べれるんならなんでもおいしいからね 』
「 もう味わかんないのに? 」
『 それは言わないお約束でしょ? 』
窓際の席に座って飲み物を注文する。
入れ違いにショートケーキが机の上に並んだ。
「 ねぇ、これからどうするの 」
『 どうするって、何が? 』
「 …Aが、 」
『 死ぬんじゃないか、って? 』
ちょっとだけびっくりしたのかな、まゆくん。
瞳が揺れてて、動揺が隠せていないよ。
でも、君の瞳を揺らせるぐらいにはわたしも大きくなったのかなぁ。
『 あのね、まゆくん。わたし、そんなこと出来るほど勇気もないし行動しようとも思わんよ 』
「 じゃあ勇気とかそういうのがあったらやろうとしてた? 」
『 そうかもね。でもわたしはそんなもの持ってないし、できないから 』
運ばれてきたアイスティーと手のつけられていないショートケーキが場違いにきらきらしている。
あーあ、こんなんになるならケーキになりたい。
それで誰かに食べられておしまいにしたいの。
だって、いいよね。死ぬときにケーキは誰かが笑ってくれるんだから。
人間は死んだら泣く人の方が多いのに。
そう思いながらケーキを食べていく。
甘くておいしいって言った方がいいのかな?
でも、まゆくんだからいっか。
「 じゃあAは誰かに殺されたら何を思うの? 」
『 どうするの、じゃなくて何を思うかでいいの? 』
うん、と頷いて返事を待っているまゆくん。
なんて言おう。どうやって包もう。
嘘と本音をごちゃ混ぜにして言う。
『 うーん、ありがとうかなぁ 』
「 そう、じゃあ幸せだね 」
『 うん!しあわせだ 』
味のしないショートケーキを食べながら幸せを噛み締めていたかった。
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うか(プロフ) - はぁぁぁぁぁ−好きッッッッッ (11月27日 17時) (レス) @page6 id: 3da31f1962 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:な る せ 。 | 作成日時:2023年10月29日 19時