【 2j3j 】天使の呪い。 (ページ8)

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アノコとタバコ　。ページ8

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ふぅ、と息を吐くと白い煙が鼻を掠めた。
今日何本目だっけ、なんて意味のないことばかり頭を通り過ぎる。

「ロレせんぱい、これ秘密ですよ？」

そう言ってタバコを咥え、煙を吐き出す姿が何とも苦しそうで。
─── それが最期になるなんて、思わなかったんだ。

＿＿＿
＿＿

「あ、ロレせんぱ〜〜い！！」

「ちょっと聞いてます！？」

明朗快活、天真爛漫。

この言葉がこれほど似合う人を俺はAちゃん以外に知らなかった。
いつも笑顔で弱いところも全部無いように見えていた。

ただそれは俺が知っている一部なだけで、本当は違った。
─── あの日、あそこで会うまでは。

「あ、ロレせんぱい」

『 … 何してるん？』

吸ってるんですよ、と半笑いで此方を手招きしてきたAちゃん。

その瞳は暗くて、空っぽで、それで ───
否、これ以上はいいか。

ともかく、衝撃的だったのだ、アノコが吸っているだなんて。
なんともタバコやらそんなものとは無縁そうだと思っていた、
… 決めつけていた。

「ねね、せんぱいのライター下さいよ」

『えなんで？？別に良いけど』

Aちゃんはいいんですか、と笑っていた。
ライターなんて吸っているんだから持っている筈なのに、何故？
気になって理由を聞いた。

「え〜〜、記念ですよ、記念！」

『なんの？』

「ん〜、ロレせんぱいに秘密知られちゃった記念？」

はにかむように笑う彼女を尻目に参ったな、と音をあげた。
これが魔性か、なんて。

『じゃああげる、サインでも書こうか？』

「いーです、サインは求めてません！！笑」

ライターを手渡す。
彼女は物珍しそうにライターを見つめてから受け取った。

「ねえ、一つ聞いても良い？」

『は〜い！なんでしょ？』

「 ─── … なんで吸ってるの？」

その答えは、衝撃的だった。
彼女が吸っていた事実よりも遥かに重かった。
特に、俺からしたら。

あの後なんて返事したのかも覚えていないけれど、それだけは覚えている。
あの答えが今でも俺を、縛っていた。

『 ─── 好きな人が一回だけ、吸ってたんですよ』

その瞳は、俺には届かなかった。

【旧雨今雨：ローレン・イロアス】

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