狡くて甘い 。 ページ11
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「 姫 〜〜〜 ? そんなとこ居たら風邪引くよ? 」
『 あは、まだ姫って呼んでくれるんだね、ふわくん 』
いつもの見慣れたスーツに身を包んでわたしを出迎えてくれたのはホストのふわくん。
片手にはスマホを持っていて、髪は少し湿っていた。
『 まーた女の子怒らせちゃったの? 』
そう言いながら彼の髪を背伸びしながらぽん、と触る。
ふわくんは違うんよ、なんて言いながら笑うからそれが嬉しくて、悲しくて。
よくわかんなくなっちゃったの。
『 ねえ、ホストのふわくんに聞きたいんだけどね 』
「 うん? 」
『 カレシ、怒らせちゃった時はどーすればいいのかなあ 』
カレシ、そう言った途端ふわくんの目が大きく開いた。
ちょっと瞳が揺れてて、まゆくんと似てるなぁなんて考えたりして。
『 わたしさ、かわいくいる方法も機嫌を取ることも得意だし謝ることも得意だよ。でもね、あのひといっつも許してくれないの 』
「 … そ、れはなんで? 」
『 わかんない。あれ、これも怒られるんだった 』
そう言って笑うとふわくんは困ったような変な顔をしてそっかあ、と笑った。
それを見てやっぱりあのひとと似てるなぁって考えちゃうの。
だからふわくんに縋ったのかも。
あのひとはわたしがいつもわかんないって言うと哀しそうな寂しいそうな顔で笑うから。
それを見てもわたし、なんとも言えなくて。
飛び出してきちゃった、なんて言ったらふわくんびっくりしちゃうかな?
「 … 彼氏さんの言いたいことも分かるっちゃ分かるけどなぁ 」
『 え、わかるの?じゃあわたし、なんで怒られちゃうのかわかる? 』
なんて言ったらまた困ったように笑うの、ずるい。
そう思っているとふわくんが少し笑いながら口を開いた。
「 Aちゃんはさ、仲良い友達とかが悲しそうにしてたら " 可哀想 " やなぁって思うやろ? 」
『 うん 』
「 たぶんきっとそこなんよ。Aちゃんの " 可哀想 " と俺らの思う " 可哀想 " 。Aちゃんはきっと自分の気持ちに名前を付けるのが苦手なんやろなあ…だから " わかんない " になるんやない? 」
『 そう、なのかも 』
敢えて今までホストのふわくんは触れないようにしていた筈のわたしの根源。
奥底にある、ずぅっと眠らせてきた呪い。
それをふわくんは触れてきた。
『 ありがと、ふわくん 』
「 またのご指名お待ちしております 」
ホストのふわくんは、やっぱりずるかった。
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うか(プロフ) - はぁぁぁぁぁ−好きッッッッッ (11月27日 17時) (レス) @page6 id: 3da31f1962 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:な る せ 。 | 作成日時:2023年10月29日 19時