死者に口なし 。 ページ2
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『 ─── そっ、か 。 Aちゃんが… 』
「 なんか、嘘みてえだな 」
葛葉がそう言って俯いたのを見てなんとなく、頷いた 。
Aちゃんが死んだと言われているその日はよく晴れていた覚えがある 。
本社でちょっとだけ会ったんだっけな 。
葛葉と収録で部屋でスタッフさん待ってて、それで ─── …
____
「 あ ! 葛葉センパイと叶センパイ ! お疲れ様です !!! 」
「 相変わらず声でけえな 」
『 あはは、お疲れ様Aちゃん 。 今日は収録 ? 」
「 … うーんと、そんな感じです !!! あたしが声かけたのにごめんなさい 、 もうすぐ用事あるのでまた今度話しましょ !!! 」
「 おー、またな 」
『 じゃあねAちゃん ! 今度は階段でかけないようにね 〜 』
____
思えばあれが、彼女との最後の会話だったんだ 。
正真正銘、最期の 。
吸血鬼である葛葉でも、神様でも、天使でも、
死んだ人を生き返らせる術は持ちえない 。
僕が思うに、持ってはいけないんだと思う 。
死者は何も言わない 。
叫ぶことも、会うことも、何も出来ない 。
" 死んだら終わり "
なんて皮肉なことだ 。
本当に、その通りなんだから 。
『 … 葛葉、今度Aちゃんにお供えするお花でも買おっか 』
「 … アイツのことだから、お菓子でいいんじゃね 」
『 そうかも 』
死は等しく平等に、誰かの命を奪う 。
─── 奪われ方は、それぞれだけど 。
「 ─── あの、今良いですか ? 」
振り返ると、そこには深刻そうな顔をしたもちさんがいた 。
「 もちさん、どうしたんすか ? 」
葛葉が少し心配そうに声をかけた 。
僕も声をかけるが一向に反応がない 。
そのまま、何秒経っただろうか 。 もちさんが顔を上げて口を開いた 。
─── 「 Aのことで、聞きたいことがあるんです 」
【 重要参考人 : 叶 ・ 葛葉 】
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うか(プロフ) - はぁぁぁぁぁ−好きッッッッッ (11月27日 17時) (レス) @page6 id: 3da31f1962 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:な る せ 。 | 作成日時:2023年10月29日 19時