9-ナイトメア ページ11
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「うわああああああああ!!!」
おれの腕の中に居るのは、血に濡れたA。
彼女は浅い呼吸で、「はは……」と小さく乾いた笑みを零した。
おれはAの死を悟っていた。
「A!!死ぬなッ…死ぬな!!」
「ごめ、ん…ねぇ……」
ゴフッ、と彼女は血を吐き出す。薄い鴇色の唇が鮮血に濡れた。
まだ、何も出来ていない。
記憶を思い出したばかりで、Aを幸せにする所か、満足に愛を伝えられてすらいない。
後ろからコアラとハックが叫ぶのが分かる。
「医療班を呼べ」と言っているが、彼女はもう助からない。
何故なら―――――これは、おれの記憶だから。
「へへ、もっと……キスしたりとか、してみたかった、なぁ……色んな世界を見て、本を書くんだよ……君が諦めた、嘗ての夢を…ね」
「嗚呼、する!!何だってするから、だから……死ぬな。もう、おれから……何も、奪わないでくれ」
一気にAの顔から血の気が抜ける。真っ白な手をぎゅっ、と掴んで離さない。
Aは震える指をおれの頬に滑らせて、小さく微笑む。
おれはAに顔を近づけると、そのまま自身の唇をAの唇に押し当てた。
「まさか、こんな……ファーストキスになるとは…………へへ」
「ッ、A…!!」
そんなの、いくらでもしてあげたかった。もっと一緒に居たかった。
Aと一緒に居れれば、それだけでおれは幸せな気持ちだった。
「ねぇ、サボ……」
―――――ありがとう。
おれは思わず飛び起きた。最悪な夢だ、と思いながら、小さく息を吐く。
あれは、Aが死んだ時の話。
おれは汗でぐっしょりと濡れたシャツをぱたぱたと扇いだ。
「……はぁ」
3段ベッドの真ん中。上と下から、それぞれの寝息が聞こえてくる。
静かな部屋に、時計の針の音が妙に大きく響く。
未だに心臓はバクバクと動いたままだ。
ふと、自身の唇に触れる。
Aとの初めてのキスの感覚は、今でも鮮明に覚えていた。
生き物が死ぬと、まずは冷たくなる。最初はまだ暖かくて、死んだことを信じることが出来ない。
少しづつ冷たくなると同時に、身体の硬質化が始まっていく。抱き締めた時の柔らかさも、全て失われる。
そして最後に、匂いが変わる。落ち着くような匂いから、生臭い匂いへと。
そこで、死を感じる。
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クロ - めちゃくちゃ面白いです！更新頑張ってください✨ (6月16日 2時) (
レス) @page16 id: bc50a78055 (このIDを非表示/違反報告)
_ururu_ - うり太郎さん» リクエストありがとうございます。了解しました。 (2021年12月10日 21時) (レス) id: 0cf7d72f9c (このIDを非表示/違反報告)
うり太郎(プロフ) - リクandコメ失礼します…!ベポ、シャチ、ペンギンと主ちゃんで遊園地が見てみたいです!! (2021年12月10日 21時) (レス) id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
_ururu_ - どこでもニトリさん» リクエストありがとうございます。了解しました。 (2021年12月5日 21時) (レス) id: 0cf7d72f9c (このIDを非表示/違反報告)
どこでもニトリ - 初めまして!リクよろしいでしょうか?盃兄弟との絡みが見たいです!(特にサボくん)お願いします!! (2021年12月5日 21時) (レス) id: c9f8dc2643 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：_ururu_ | 作成日時：2021年12月3日 19時
