こっちをむいて

こっちをむいて ページ28

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「もう好きじゃん」


そう言ったのは、ラウールでも俺でもなくて、翔太くん。ラウールの、俺の写真チェックに付き合わされたらしいけど。


「はぁ！？」

「ラウールの康二は俺のもの発言、あながち間違いじゃねぇのな」

「残念ながら、俺も康二の写真見たけど恋してる顔だったわ」

「ちょっとママ！残念ながらってなに！」


翔太くんもふっかさんも、あっち側に行ってしまった。俺の、味方やったのに！！





「康二くん？…無理は、しないでいいからね」

「…」

「そりゃあ、好きになってくれたら、嬉しくて嬉しくて寝れないかもしれないけど…康二くんが嫌がることはしないよ」


結局、ラウールが寄り添ってくれるから、よう分からんけど涙が出た。眉毛が下がってる。



ああ、もう。俺、ラウールの悲しい顔に弱いって、言うたやんか…


「泣かんといて、？」

「いや、泣いてるの康二くんだからね？」

「そうやけど…泣かんといて」









「康二。…男とか女とか、年上とか年下とか何にも関係なく、幸せだって思える人と一緒にいたらいいよ」


ひかるくんが、俺の背中を押してくれてる。ラウールを悲しませたくない。そういう気持ちも、好きに含まれるんかなぁ。


「好きな人が泣いてて、それを慰めるのが自分じゃなきゃ嫌だって思うんなら、それは…恋ってことでいいんじゃない？」


ふっかさんの言葉は、すっと腑に落ちた。

滅多に泣かんラウールが、もしも、もしも泣いたら、真っ先に俺のとこ来てほしい、かも…。悲しい思い、してほしくないもん。



そんなこと考えてたら、なんか急に人肌が寂しくなって、ふっかさんに向かって両手を広げる。

そしたら何にも言わんくってもハグしてくれた。…おかんみたい。あったかい。


「このハグ、最後だろうなぁ…」


そう言ったふっかさんは、困り顔や。これからももっと何回したってええのに。









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