＊人間よりも動物と ページ33
走って走って辿り着いた先は、見慣れた神社だった。
夏独特の蒸し暑い風が服の間をすり抜けていく。
あぁ、やっぱり此処にくると落ち着く。
私は神社の階段の一番上に腰掛けた。
家に帰れば怒声が響く。
学校に行けば好奇の眼差しが突き刺さる。
私の居場所がこの世界のどこにもないのだと悟ったのは、僅か10歳の時であった。
その理由は自分でも理解している。
「私にも友達が出来るといいな」
『僕が居るじゃないか』
その時ふと、後ろから聞き慣れた声がした。
私は待ち焦がれていた声の主に笑顔で振り向く。
「やっと来た！茶々丸！」
その名を嬉しそうに呼べば、一匹の"三毛猫"はスタスタと歩きながら近寄って来て、私の隣にちょこんと座った。
『今日は猫集会があったから遅くなったんだ』
言いながら、三毛猫の茶々丸は念入りに腕を毛づくろいする。
「そっかそっか」
そう、私がこの世界で行きづらいのは、生まれ持った能力が関係しているのだ。
"動物と話せる能力"。
神様のいたずらか、ただの気まぐれか。
私は物心ついたときから動物と話すことができた。
階段から見える町並みを眺めていると、茶々丸が呟いた。
『君はさ、動物と話せる能力を持った自分が嫌い？』
「……」
空高く手を伸ばし、目を瞑る。
ザワザワと木々が揺れる音。
蝉の大合唱。
風の囁き。
それら全てが心地よい。
確かにこの能力を恨んだことはある。
けれど、これは天からの贈り物なのだと自分の中で解釈した。受け入れた。
だから。
「ううん！ぜーんぜん、嫌いじゃないよ！」
私は満面の笑みを浮かべる。
その笑顔を見た茶々丸は、嬉しそうに「みゃあお」と鳴いた。
これは、この世界で生きづらさを感じている少女と一匹の三毛猫が紡ぐ、小さな奇跡の物語。
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ぺぽん(プロフ) - わわわさん» イベントに参加させていただきありがとうございます。神作品だなんて嬉しすぎます🥰これからも面白い物語を書けるように練習していきますね🙌 (2023年3月24日 20時) (
レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
わわわ - 作品の参加、ありがとうございます！！色んなシチュが一つ一つの個性を持っている。でも全部面白い…神作品や… (2023年3月24日 20時) (レス) @page26 id: 227f2d1e2c (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 十六夜紅葉@斎藤一推しさん» そう言っていただけて凄く嬉しいです！これからも思い付いた場面を投稿していくので、不定期ですがぜひ楽しんでくださいね。 (2023年2月16日 17時) (レス) @page25 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜紅葉@斎藤一推し(プロフ) - 面白いです！これからも頑張ってください！ (2023年2月16日 17時) (レス) id: 20647828cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぽん | 作成日時：2022年7月12日 22時
