もうひとつの命【降谷零】

11話 ページ12

今日は家を少し早めに出た。
みんなが来る前に少しでも溜まって書類を片付けたいから。

というのは建前で、

本当は、朝より午後の方がつわりが酷くなるのだ。
夕方〜夜なんか、比べ物にならないくらいに。

だから、調子のいいうちに溜まった書類を片付けて
午後を少しでも楽に働けるように対策を練ったのだ。


『おはようございます、』

誰もいないオフィスに声をかけた。

｢…！ぁあ、何だ宮本か…早いな、｣

はずだった、、

誰もいないはずだったんだけど……


『え、？』

｢？どうした、｣

『な、…何でいるの、？ 降谷……』


2週間、いないんじゃなかったの？
え？風見が間違えるはずないし、、、

｢書類が堪らないようにな、
少し取りに来ただけだ、すぐ戻るさ

宮本は、？｣

そうか、
それで降谷のディスクに置いてあった書類が増えていかないわけだ、頑張るなぁ、組織と公安と……

あれ、

『私？』

｢？お前以外に誰がいるんだよ、
体調はもういいのか？顔色が良くなってるようには見えないけど、頑張りすぎて倒れんなよ？｣

『ん、大丈夫、大したことじゃないから、
気にしないで、すぐ治ると思うよ。』

｢…そうか、なんかあったら言えよ、
同期のよしみで助けてやるよ｣


──言えたら、楽だっただろうな。

助けてもらえたら、凄く嬉しかったと思う。

でもね。

もう決めたんだ。


─────────この子と頑張るんだってね、




『ふ、降谷のくせに、
…大丈夫だよ、！ 私を誰だと思ってるんだか！笑

ほら、もうそろそろ行かないと何じゃない？』


大丈夫、笑えてる、
今まで通り接したらいい。


｢ははっ！そうだな、宮本なら大丈夫か、
じゃあ、そろそろ……また時間空いたら飲もう、｣



──この時お前の不自然な笑顔に気づいてたら────

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