帰り道、雨よ降れ

_ ページ13

フレンチトーストを無言で食べる聡ちゃんに

コーヒーをちびちび飲む勝利くん

当たり前のように食べ始めるふたりに

ハッとして私もパンケーキを切り分ける


きてしまったものはしょうがない

美味しいものは裏切らない

そういうことにしておこうと思う



私がパンケーキに夢中の間に

聡ちゃんの口調も戻って

2人は私の知らない話をしていた。



‥どうせ入らないからいいけど。


「いただきます」


渋々と口に運んだけど

何だかパンケーキが前回より美味しく感じて

あったかい感じがした。



思わず頬がゆるむ



勝「美味しい？」


顔に出てる、と勝利くんが笑う


「うん、前来た時よりも‥ずっと」


なにがちがうのかわからないけど

美味しい気がして

勝「あーそれ多分聡が作ったから‥」


「へ」



聡「勝利余計なこと言うな」

勝「うお」


聡ちゃんに軽く頭を叩かれていた


ていうか

「え」



これ、聡ちゃんが作ったの？

こんなかわいいパンケーキ



すごい



「昔から料理とか上手だったもんね‥

そういう職業につけばいいのに」



思わず口が滑って本音が漏れてしまった

しばらくの沈黙の後


勝「だよね」

と嬉しそうにしていた。



聡「‥。」


怒ってしまったのか

聡ちゃんはそっぽ向いてしまった


でもやっぱり美味しくて

聡ちゃんが作ったの食べるのなんて

すごいひさびさだなぁ

そんなふうに考えてたら


意味もなく

目がうるうるした。


「ごちそうさま‥

お手洗い行ってくる」






わけもなく苦しいの

誰か止めて欲しい


_


side:勝利


勝「泣いちゃいそうになってたじゃん」

聡「別に‥」


そっぽ向いてぶすっとしてる聡


でも俺知ってるよ

さっきパンケーキ食べるAの事見て


ちょっと微笑んでたよね。



そういう職業につけばいいって言われた時


嬉しそうにしてたの気づいたよ。


それを誤魔化すためにそっぽ向いたんでしょ



A泣きそうになってる時にさ、




昔の癖で「しょうがないな」って

撫でようと、ちょっと手が出てたよ




自分自身にすごい戸惑ってたけど



本当は分かってるんじゃん。

ばかだなぁ



聡「勝利何笑ってるの」



勝「別に、楽しいだけだよ」




昔みたいでさ

_→←暴れ梅雨

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す