… ページ16
Ruggie Bucchi side
『相変わらず手癖が悪いなぁ。』
後ろから拘束する様に抱き締められ、
俺より20センチ以上も背の高いAさんが、わざと耳元で囁くように言う。
耳の良い俺にとっては、そんなに近くで喋られるとAさんの音だけしか拾えなくなって、低いその声がまるで脳を支配していくように思えた。
いつもの、戯れるような雰囲気では無くて、まるで俺が獲物みたいに…
そのまま硬直していると、すっと懐に伸ばされる大きな手。
金が取り上げられる、と咄嗟に身を捩って抜け出そうかとも思ったけど、
急所がある腹に腕を回されている事が恐ろしく感じてやっぱり動けなかった。
無意識のうちに尾が足の間に入る。
『あれ、怖がらせたか。ごめんね。』
俺のポケットから金を取り出したAさんは、さっきまでの圧が嘘だったかのようにけろりと笑顔になって手を退かした。
一気に空気が軽くなった気がした。
「はぁ…驚かせないで欲しいっス…。」
Aさんに向き直って、緊張で逆だった毛を誤魔化すようにため息をつく。
少し眉を寄せて見上げると、嘲る様に軽く笑った彼が何かを投げてよこした。
ぱし、とそれを掴む。
何、なんて聞かなくても正体は分かりきっているそれを空になったポケットに放り込んだ。
オレンジ味の飴。
初めてAさんに会った時。
その時も失敗して、オレンジ味は嫌いだからと金の代わりに差し出された飴。
以来、見つかるごとにオレンジの飴が飛んでくる様になった。
「苦手な味押し付けられても…。
全然嬉しくない贈り物っスねぇ…。」
自分の行いは棚に上げ、不満をこぼす。
…まぁ、別に嫌いではないっスけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Q-02 - 描写が細かくて、読みごたえがあって、本当にこの作品が好きです...。 最近の生きがいですありがとうございます。 お体に気を付けて、更新頑張ってください! (2020年7月18日 10時) (
レス) id: ada86e6bec (このIDを非表示/違反報告)
きらり(プロフ) - ぐへへ描写が分かりやすくて神ってまするるるる（）毎回楽しみに見てます。頑張ってください! (2020年6月8日 16時) (レス) id: 6563db8e4a (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - 好きですめっっちゃ好きです(語彙力)続きを楽しみにしてます！！！！ (2020年5月28日 6時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
七 - コメント失礼します！性癖ど真ん中に刺さりました...。好きです！！！更新楽しみに待ってます。 (2020年5月21日 14時) (レス) id: 7f8beb23ed (このIDを非表示/違反報告)
酢昆布たゃん(プロフ) - 好きが液状化して全身の穴という穴から吹き出そうなくらい好きです。とんでもなく好きです。更新超楽しみにしてます。頑張ってください (2020年5月19日 1時) (レス) id: d836fbb346 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒蓮 | 作成日時：2020年4月28日 5時
