恋を知らないOL【灰谷竜胆】

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目線を上げると、会議室に居たクラゲ髪の人と目が合う。





『あ…どうも、お疲れ様です。』





いや気まずいかよ。オーナーなんでここの喫煙ルームなのよ。





「おう。お前、名前は？」





『総務課のAです。』





ヤバくない？名乗ったら私サボってんのチクられない？





「下の名前は？」





え、面接？リストラされるんか？いや、うちの会社業績上がってたっけな…。





『Aですけども…何か？』





「いや、何でもない。」





そう言ってオーナーは喫煙ルームを出て行った。



何だったんだ…？





『やば、デスク戻んないと。』





タバコの火を消して急いでデスクに戻った。





「Aさーん！どこ行ってたんですか。」





戻ってくると、もかちゃんが泣きそうな顔で駆け寄ってきた。



話を聞くと、先ほどの会議で急遽新しい企画が上がったらしい。



本来は企画課が担当する業務だが、期限も短くこちらまで回ってきたらしい。





「残業確定ですよこれ。」





『明日は休みだし、残業終わり飲みにでもいく？』





「え、本当ですか！やば、ちょー頑張れる！」





俄然やる気を見せたもかちゃん、可愛い。



時刻は午後9時、やっとの思いでうちの課のノルマが終わった。





『もかちゃーん、行こっか。』





「はーい！」





「なになに、飲みいくの？」





私がもかちゃんに声をかけると、他の同僚も反応する。



恐るべし、もか人気。



結局私ともかちゃん、同僚の男性社員3人の5人で飲みに行くことに。



職場から程近い大衆居酒屋に入った。

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