▽ le début . ページ33
▽ kmmc side ...
「 じゃあさ！輪廻転生って信じる？ 」
先ほどまでの不気味な様子は何処へやら、笑顔を浮かべながら彼女が僕に問う。
「 輪廻転生 」
あり得ない、とは言い切れないと思う。
それは僕が所属しているにじさんじには未来人やらエデンやら魔王やらホストやら吸血鬼やら。
非日常が取り巻く自分の日常があるからこそ、否定は出来ない。
しかし僕は未だ人生の途中であり、死の先がどのようなものであろうとも知り得る事ない。
もちろん、先人たちが出してきた地獄やら幽霊やら何やらいるのも、それが真実であれ嘘であれ何も知らない僕たちはそれでも生きている証明だった。
『 … どうでしょう。否定はしませんけどね 』
「 うーん、そっか、そうだよねえ 」
ふんふん、と軽く頷くも笑顔だけは崩さない。
そんな鉄壁がどうにも嫌で、壊したくて、
見たかったんだ、君の本当の笑顔を。
そんな願いは虚しく空に溶けて消えていった。
代わりに吐き出されたのは仮説でしかない言葉のみ。
『 … 何回目、ですか 』
「 … ！ 君に出会ったのは、ココが初めてだよ 」
彼女の言う「ココ」が何処なのか。何処に居て、何を知っているのか。
ただ目の前の彼女が人智を超えた何かであると悟るには自分は愚かだった。
「 そろそろ行くね？配信しなきゃだし！楽しかったよ、ありがと！ 」
『 こちらこそ 』
「 美兎もね！ばいばーい！ 」
「 … おね、ちゃ、 」
そう言った少女は彼女の方に手を伸ばし、空を切った。
「 お姉ちゃん、いってらっしゃい 」
『 うん！いってくるね 』
手を振りながら始終笑顔の彼女。その鉄壁を壊すことも言葉をぶつけることもできなかった。
それでも尚、浮かぶのは彼女の笑顔ばかり。
見えなくなった背中を確認して息をゆっくり吸い込むと後ろでペタンと音が鳴った。
「 ごめんなさい、腰が抜けちゃって… 」
『 同じ気持ちですよ、どこかで座りますか 』
腰が抜けたと言う委員長を支えながら近くの椅子に座る。
ピロンと通知が鳴った。
＿＿＿ 彼女が、ココに戻ってきた合図だった。
続く (更新停止中)
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作者名：な る せ 。 | 作成日時：2024年1月7日 2時
