▽ 逋ｽ鬥ｬ縺ｮ邇句ｭ先ｧ . ページ22
.
約束の日、当日。
いつものようにコンビニに行くわけでもないのでスウェットで行くなんてできないし今日は早起きした。
服を着て、メイクをして、鏡の前に立つ。
うん、かわいい。大丈夫。
「 …お姉ちゃん、今日でしたっけ 」
『 うん、行ってくるね 』
もうすぐだ、と思い履き慣れない厚底を履いていたところ後ろから声をかけられたので振り返る。
美兎はなにか言いたげにしていたが口を噤んだ。
それを見かねて履いたばかりの厚底を脱いで美兎を抱き締めた。
『 大丈夫、絶対帰ってくるから。ね？ 』
「 …絶対だからね 」
指切りげんまん。嘘ついたら針千本。
久しぶりに、いってらっしゃいと言われた。
今までわたしがおかえりと言い、いってらっしゃいと言っていたのに。
でもわたしは知ってしまったから。
待ってるだけじゃ、ダメだよね。
『 いってきます 』
＿＿＿＿
＿＿＿＿
待ち合わせはわたしとかなかな、どちらの家からも近い駅だった。
久しぶりの人混みに酔いながらもなんとか辿り着いた。
着いたよ、と連絡すればすぐに既読がついて「僕ももうすぐだから」と返ってきた。
了解、と返事をしてスマホを閉じると目に映るのは人人人。
…嫌なこと、思い出したな。
そう思い閉じたスマホをまた開いて何かゲームでもするか、と考えていたところだった。
「 オネーサン、今ひとり〜？ 」
「 めっちゃかわいいって思ってさあ〜どう？暇でしょ？遊ぼーよ 」
知らない影が、わたしを覆い被さった。
わたしよりも大きくて、低い声で、何もかも違う。
『 ひと、待ってるので… 』
必死に抵抗しても腕を掴まれて逃げ出すことさえ出来ない。
しかも彼らはそれすらもかわいいなんて笑うのがまた癪に触った。
嗚呼、と涙が滲む。
泣いても変わらないとわかっている、わかっているのに。
わたしが、もっと怖かったら。強かったら。対抗できる術があれば。
＿＿ 女として生まれてこなければ。
「 いいじゃん、ちょっとぐらいさあ…ね？あそぼってば 」
『 いやです、離して…！ 』
離してだってさ！と下品に笑う彼らが悍ましい何かに見えてきて。
もう嫌だ、と目を瞑った時また新たに腕を掴まれた感触がして目を開けた。
「 …この子、連れなんですよね。離してもらえませんか？ 」
聞き慣れた声が、した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 845人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：な る せ 。 | 作成日時：2024年1月7日 2時
