人見知りの彼と彼女とわたし。

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『ねえ、北斗くん』



HR中、そう呼び掛ければ、



「ん、なに？」



って振り向く姿にすら



キュンとしてしまう自分がいやだ。




『ね、やりたい』




「なにを」




『男女二人三脚』




もうすぐ体育祭があって、




出場競技を決めるHR中。




どうやらカップルがやってるみたいなんだけど、




4組中残り1組だけがまだ決まってなかった。




「え、なんで」




『楽しそうじゃん』




「楽しそうかな」




『え、楽しくないかな』




「うん」




『でもやりたい』



そう言えば、



久しぶりに見たあの嫌そうな顔で




「いいよ」



って言ってくれる。




『出た、心と言葉が合ってないやつ』




「止めるよ」




『嘘です、ごめんなさい。




せんせー！わたしと北斗くん出ます！



男女二人三脚！』





「お、頼むな〜」





その後はスムーズにみんな競技が決まって




すぐにHRが終わった。




『それよりさあ、



この2ヶ月ちょっとで



このクラスに3組もカップル居ることがすごいよね』




「そうだね」



『めちゃくちゃどうでもいいって顔してる』




「してるね。


じゃ」



鞄を持ってそそくさと帰ろうとしてる北斗くん。




『待ってよ、途中まで一緒に帰ろうよ』




「なんで？」




『え、それは冷たい』




「嘘だよ」




『あ、じゃあさ〜、



わたしが北斗くんの家まで送ってあげようか？』




「え、それはなんのために？」




『二人三脚の仲を深めるためだよ』




「必要かな、それ」




『冗談だよ？もちろん』




「うん、そうだよね。



本気だとするなら



申し訳ないけど、引く」





『ちょっと待って




北斗くんって本当に日に日にひどくない？』





「Aってそういう顔してるよ」




『え、待って



どんな顔？』





「あ、俺こっちだから




じやーね」




『あ、え？



あ、ばいばーい』




よくわからない言葉を残して帰っていったけど、




なんだかんだでやっぱり北斗くんは優しい。






嫌だって言いつつ



途中まで一緒に帰ってくれるんだから。





そういうギャップに弱いって言ったじゃん。




あ、本人には言ってないや。







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