【実:_況＊者】らぶうぉんちゅ .【企画】 (ページ8)

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CRASH ＊ hr ページ8

▽

高校の時、好きな女の子がいた。

笑顔がとびきり可愛くて

誰にでも気配りできる、素直で優しい女の子。

名前は、しもゆーちゃんと言った。

ひねくれ始めた自分にとって、

その子は憧れの存在だった。

僕は彼女の、全てが好きだった。

…でもその子には、彼氏がいた。

僕より、スペックが高くて

僕より、なんでもできる。そんな人。

完敗だった。

相応しいなと、そう思っていた。

…けど、ある日。

街中を歩いていると、偶然あの子の彼氏を見てしまった。

隣で楽しそうに喋っている女の人は＿＿＿＿あの子ではなかった。

腹が立った。

何をやっているんだ、と。

あんな可愛い彼女がいるのに
お前はまんまと浮気か、と。

そいつが言い逃れできないように、写真をとっておいた。

.

後日、僕はしもゆーちゃんを使われていない教室に呼び出した。

息を吸って、一言。口に出す。

" 君の彼氏は浮気してる "

君の表情は、

苦しそうに形を変える。

" うそ "

掠れて出た声は、未だに信じられない、と言った風で。

" ほんと "

証拠を見せる。

一段と顔を歪ませる君に、胸が苦しくなった。

＿＿＿君のため、君のためなんだ。

そう身に言い聞かせて、空っぽの教室をあとにした。

結局、その日のうちに彼女らは別れてしまった。

…正直、僕は満足感に浸っていた。

しもゆーちゃんを浮気男から守れた、

そんなことを。

…だけど。

ある日しもゆーちゃんと付き合っていたソイツと偶然会って、喋ってた時だ。

" そう言えばこれ、彼女？ "

偶然を装って前しもゆーちゃんに見せた例の写真を見せてみたのだ。

『そうだよ、俺の彼女！』

＿＿＿＿そう、言われると思っていた。

でもそいつは苦笑いを浮かべて、
俺の予想していなかった答えを大きな声で話した。

" …うわ、これうちの姉ちゃん！ "

" やたらベタベタするからやなんだよ "

" ったく困ったもんだよなぁ！ "

頭が、真っ白になった。

.

…それからのことはあまり覚えていない。
けれど、

僕は、…僕が、

｢あの幸せなカップルを壊してしまった｣

それだけが、頭の中をずっと回ってぐるぐるしていたのだけは、鮮明に覚えている。

.

僕はずっと、後悔している。