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その後、何日も逃げ回った。メディアも注目しだして俺は一躍有名になったのだ。
「あれは猛毒をもっている虫が巨大化したものだ。」
「いや違う、人間が作ったんだ」
「自然に生まれたのかもしれない」
カメラと視線が俺を突き刺した、助けてや総統、ゾムもさ。気づいてくれへんの？
でるはずの涙もでない、毒を撒き散らして逃げさる俺を見つめる人間が怖い。違う、俺は人間なんだ。お前らと一緒なんや。
小石を投げつけられ、皮膚に食い込む。シクシクと痛い、そうだあいつらは食物連鎖の頂点に立ったんだ。なんでもできるのに謙遜して、それで。
もういい、いらないよ。
足を止めようとしたとき、俺の後ろに誰かがたった。そしてその人は叫ぶ。
「ちょっと待って！一瞬でいいから！ほんと！マジで！」
あ、コイツ知ってる人やんか。
振り向こうとしたとき、目に違和感を感じた。人間に戻るかもしれない、急いで影に隠れた。するとどんどん元の体に戻っていく。俺は急いで近くの路地に隠れた。
俺を助けたのは高校の時のクラスメイトだった、あんまり話したことは無いが一度だけあいつがいじめられているところを助けた覚えがある。
恩返しみたいなやつなんか？
そんな事を考えていると大通りからたくさんの足音が聞こえた、俺はその場にうずくまった。
「あの女！見失ったじゃないか！」
「どこだ、探せ！」
たすけなんてない、もう、たぶんだけど。
俺は死を覚悟して大通りに出ようと立ち上がる、すると後ろからさっき聞いた声が聞こえた。
「ロボロ君」
「…ありがとな、さっきは」
「ううん、高校の時お世話になってたし」
俺の横で笑う彼女の名前は覚えていない、俺はなんて呼べばいいかわからず戸惑っている。そんな俺を見た彼女はおかしそうに笑った。
「Aだよ、A」
「A、なんで俺だってわかったん？」
「ちょうどロボロ君にお礼しにいこうと思ってたの、ここから離れる事になったから、高校の時の事だけでも嬉しかったって伝えたくてさ。そしたらロボロ君の家から虫が出てきたから…。最初は怖かったけどやっぱりロボロ君だった」
「よかった」と言って微笑む彼女はいとも簡単に俺の心臓をつかむのだ。
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