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今週も勿論とわこに報告した
「物を落とそうとしたら隣に彼女が座って、それで作戦失敗と思ったら逆に彼女が落としていって
それで電車を逃して遅れたと」
「そう、電車のアナウンスが耳に入ってこなくてさあ」
「……やっぱり牛君ってアホですよね」
何も言い返せない
思い返すと今日は彼女に振り回されっぱなしだ
ため息を吐きながら今日もお客さんを捌いていく
と言っても今日はいつもより客は少なめだ
レジに背を向けて書類整理をしているとまた一人、お客が来たようだ
その人はとわこが接客してくれてるだろうから、俺は気にせずに作業を続けた
「あ！さっきの人！」
突然だ、レジの下の棚に入ってる書類を出そうと振り返った瞬間に言われた
見上げると、とわこが接客していたのはさっき話したばかりの彼女だった
確か名前はAさん
何が起きてるのか分からないという顔をしたとわこはお釣りをケースにおいて去ってしまった
とわこなりに空気をよんだのかもしれない
「ここの店員さんだったんですね、結構来てるのに気づかなかったです」
「ああ、えっと日曜日しかシフト入れてなくて……」
というかそういう約束で入ったのだ
「ほー、だから会えなかったんですね、あ！先ほどはありがとうございます」
「いや、俺……いや僕が勝手に拾っただけなんで、個人情報も見ちゃったし」
慣れない一人称はすごく恥ずかしかった
「じゃあ私の名前知っちゃいました？」
「あ、はい……すいません」
「全然大丈夫ですよ、届けるために電車も降りてくれたんですよね？」
逃したところも知られていたらしい、余計に恥ずかしい
「じゃあ、また来ますね、牛沢さん」
語尾に音符がついてしまいそうなテンションだった
「え、なんで俺の名前……」
すると彼女は自分の胸のところを指さして言った
「個人情報、しっかりした方が良いですよ」
最後にやり慣れたようなウインクをして店を出て行った
今、俺の顔赤くなってないかな
胸の鼓動が止まらなくて、痛くて、どこか気持ち良い
これが恋愛ドラマとか少女漫画である
恋の始まり、とかいうやつか
うわっ、自分で言ってて気持ち悪っ
俺には甘すぎるこの想像をさっさと消去して仕事を続けた
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