すいーとさんでー＊uszw ページ22
▽
日曜日って、良いよね
え、みんな嫌いなの？
ああ、明日はまた学校とか仕事とか始まるからか
でも俺的には、そんな事がどうでもよくなってしまうような出来事が毎週日曜日にあった
お昼が過ぎた頃、俺は電車に一人乗り込む
ここは都市から離れた郊外のため、そこまで人はいない
俺はいつもの通り、端っこの席に座って一人の時間を堪能していた
電車が止まる、お決まりのアナウンスが流れる
「○○駅ー、○○駅でございます」
そのアナウンスの内容が頭に入ってきた瞬間、すぐに出入り口に目を向けた
俺が乗る駅から２駅先
そこで乗ってくる一人の女性に、俺はいつも目を奪われている
そう、目を奪われているだけである
彼女は俺の好みドストライクだった
かと言って話しかけたことは一度もない、俺のほんのちょっとの勇気が足りない
よく友達のとわこには「牛君って、ヘタレですよね」と言われる
まあ確かに今までの経験上はそうだった
だが、今回は今までとは違うと証明してやりたい
俺ももう２０歳を過ぎた、子供じゃないんだ
……と、毎週思っているのだが、中々タイミングが掴めずにいるのが現状だ
彼女はその駅の４駅先で降りてしまうからチャンスが非常に少ない
今日も彼女を見れた幸せを糧にバイト頑張るか
「で、今日も失敗？牛君はいつも私を笑わせてくれますね」
「笑えねえわ、もーどうやって話しかけたら良いかわかんねー」
最近出来た本屋のレジ打ちをしているときに成果をとわこに報告するのがすっかり恒例になっている
でもとわこは俺のヘタレっぷりに呆れているようでまともに話も聞いてくれなくなった
相槌打ってくれるだけマシだけど
「なんなら彼女の近くでハンカチかなんか落としてみたらどうですか？
優しい人なら拾ってくれるでしょ」
「おお！とわぽんナイスアイディア！それ来週やるわ」
「彼女から意図的に話しかけさせる男ってどうかと思いますけどね、私は」
とわこの皮肉な笑いはもう俺の目には映っていなかった
よし、来週は手頃な落とし物を準備しなきゃな
俄然やる気になってきた
隣のとわこはもう知らないとばかりにポツポツと来る客を捌いていた
……っていうか俺のレジに人来ねえんだけど、どうゆうこと？
バイト終わりにとわこに聞いてみると
「にやけ方が尋常じゃなく怪しかったですよ」
俺、悲しい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
