【実:_況＊者】らぶうぉんちゅ .【企画】 (ページ19)

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「さ、寒い！！」

ゾム「当たり前やろ、ほら手袋しとけ」

年は明けて深夜1時、近場の神社までお参りに来た私たち
車から出ると吹いてきた風に思わず体を震わせた

ゾムは既に自分の手袋をはめていて、私の分を差し出してくる
しかし、それをなかなか受け取らない私にどうしたんや？と聞いてきた

「今年初めての我儘、よろしいですか。」

ゾム「聞いてやらんことも無い」

「・・・ゾムと手が繋ぎたいです！」

頭を下げて自分の右手を差し出す
ゾムは喋ることも無く、私の視界はアスファルトの地面でいっぱいだ

あまりに無言が続いたので、チラっと顔を上げてみると、
そこには困ったように頭を抱えている彼の姿が。

「え、と、ゾムさん？」

ゾム「・・・そんなん我儘やないやろ、ほれ」

出していなかった左手を掴まれて手袋をはめられる
そしてゾムは自身の左手の手袋を取って、私の右手を握った

「わ、あったかい」

ゾム「Aが冷たすぎやわ、さっむ。」

そう言いながらゾムのコートのポケットに繋いだ手が突っ込まれる
ぎゅっと絡められた指に嬉しくなってへへっと笑う

そのまま他愛のない会話をしながら歩いていくと見えたのは、
お参りのために並ぶ人、人、人・・・

「やっぱ多いね、初詣」

ゾム「はぐれんようにしてくれよ、この中探すの俺嫌やからな」

「はぐれても私ゾム見つけられる自信あるよ？」

ゾム「・・・いいから、ほら並ぶで」

そう言って後ろ頭を掻きながらずんずん進んでいく
これは彼が照れた時にする仕草だったりする