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何を言っているんだと言わんばかりの顔をするお母様と、表情ひとつ変えないお父様
「誰なんだ?」
『それは…』
「言えない相手なの?」
言えないわけではない
けど、言っていいのかな?
言わないと認めてくれないのかな
色んな考えが頭を駆け巡る
…良く考えたら、縁談の相手は万世楽園教の教祖だよね
童磨も教祖だから、きっと認めてくれるかもしれない
『万世極楽教の、教祖です』
「万世極楽教?」
お父様は何も言わずにただ顔をしかめるだけだった
お母様は項垂れた
「駄目だ。認められない』
静かにそう告げるお父様
なぜ?なぜ駄目なの?
わからない。
たくさんの感情が湧いて出てきて、怒りなのか、悲しみなのか、それすらもわからなくなる
ただただ震える手を押さえ込み、歯を食いしばり、父と母の前で座り込むだけ
「A『私は』
童磨、私もう後には戻れないよね?
私はもうあなたのものになるって決めたから…
『私は全て捨てても構いません。あの方の元に行けるのなら、私はこの一色家の娘をやめましょう。この名も、捨てます』
「な、なにを言っているの!」
お母様、それだけ本気なの私
本当ならずっと刀を握って、外を走り回れる女でいたかった
でもね、初めてだったの。こんな感情を抱いたの。
色味のない私の人生がやっと、色付いて見えるようになったの
「お前のその軽はずみな発言と選択は、いずれ自分の身を滅ぼすことになるかもしれないんだぞ」
『この身が滅ぶかどうかなど、分からないではないですか』
好きな人といて、自分が苦しむわけがない
滅ぶだなんて、なにを言っているの?
『これが正解かどうか決めるのは私です。私は今、彼のもとに走って行きたい。今この瞬間から私は一色Aではありません。家も名前もない、ただの女です』
必要ならば髪を切り落としてもいい
早く童磨の元に行きたい
「なっ、なにを言うつもり!?」
お母様は私の肩を揺する
ガクガクと頭が揺れるけど、私はもうお母様を見ていなかった。ただ、跪いて地面を見つめるだけ
どれだけの間そうしていたのかわからないが、お母様は途中で私を揺さぶるのをやめ、放心状態で私の隣に座っていた
その中で口を開いたのはお父様で、今まで聞いたことのないくらい冷淡な口調だった
「A、お前は頭を冷やしなさい」
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レイ(プロフ) - 羅刹さん» きゃー!大変申し訳ないです(汗)直しますのでページを教えていただいてもいいですか(><) (2020年2月11日 21時) (レス) id: 7b17ba10dd (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - レイさん» とても楽しく読ませてもらっています!だけど途中出てくるサヤって何ですか?そこだけ気になります! (2020年2月11日 16時) (レス) id: b3f37caf6d (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 七七四さん» いつもコメントありがとうございます(泣)七七四さんの想像、わりといい線いってますよ〜!確実に言えるのは、バッドエンドではないです(笑)今ちょうど、最終話まで突っ走ろうと奮闘していますので、またちょくちょくコメントいただけると喜んじゃいます…(滝涙) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 7b17ba10dd (このIDを非表示/違反報告)
七七四(プロフ) - このお話と弍と、星が赤くなるのを祈ってます(^o^)。何度押しても一回だけしか反映されないのがもどかしいです笑。因みに想像と言っても『幸せな結末かな?しあわせつないかも。おぞましあわせつないもあり得る!』な漠然とした想像しかできません。笑 (2020年2月6日 20時) (レス) id: 14bdff1be1 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 七七四さん» わあん!ありがとうございます( ; ; )本当に嬉しいです、、私は逆に七七四さんの想像が気になります(笑)婚約教祖の考察係ですかね?(大袈裟)だいぶ下書きも進んでおりますので、更新を絶やさないように頑張りますね〜!七七四さんもお身体にはお気をつけて! (2020年1月29日 21時) (レス) id: 7b17ba10dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2020年1月2日 23時