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あの日から何日経ったのか分からない
気がつけば桜は散り、若葉が色づく季節になっていた
もうそろそろ夏がやってくるのだと、日に日に増す暑さでわかる
寺院にいると1日1日がとても早く過ぎてしまうような気がする
それは愛おしい人がいるからなのかもしれない
気のせいなのかわからないが、この寺院に来てから、私にはわかったことがある
一つは童磨の部屋はいつも暗くて日が当たらないこと
もう一つは寺院全体がジメッとしていること
最後は、この寺院に来る人は絶えることがないということ
童磨は、昼間はあの部屋から絶対に出られない
信者たちが押しかけてくるから
だから私と童磨の「おはよう」の挨拶は夜
最初はもう寝る時間なのにって拗ねていたけれど、会えないのなら仕方ないと納得した
童磨の信者との面会が終わったら、少しだけ話をして「おやすみ」を言って寝るんだ
なんとなく私は、ずっと信者の話を聞いている童磨が可哀想に思えてしまう
絶えず押しかける信者の話を聞いて、精神的に負担になることはないのかな、なんて
夜には変わらず笑ってくれるけれど、その笑顔の奥には、なにかこう、大きな重たいものがあるんじゃないかって
「A」
『童磨!』
扉を開いて部屋に入ってくる童磨
きっと最後の信者が帰ったんだ
今日も一日、会いたかった
思わず笑みが溢れちゃうよ
「今日はなんだかご機嫌だねえ」
『恋しくてたまらなかったのですよ?あなたに会えて嬉しくて…』
「なんだ、いつでも会いにくればいいのに」
もしかして遠慮していたのかい?そう聞きながら私の元へ歩いてきたかと思えば、いつものように抱きしめられる
やっぱり落ち着くし、居心地が良くて目を閉じてしまう
「遠慮ならいらないよ、きみが訪ねてきてくれたら、俺は信者なんてほったらかして…」
『そんなこと言ってはいけませんよ?私はあなたにこうして、毎日会えるだけで幸せです。朝起きてから恋しさを募らせ、夜に会えるのが嬉しいのです』
童磨の背中に回していた手を、童磨の顔に移す
頬に手を添えると、童磨は困ったようにまた眉を下げる
「暖かいね。眠いのかい?」
『いいえ?』
童磨は私の手を握ったかと思うと、そのまま姫抱きをして寝台に連れて行った
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レイ(プロフ) - 羅刹さん» きゃー!大変申し訳ないです(汗)直しますのでページを教えていただいてもいいですか(><) (2020年2月11日 21時) (レス) id: 7b17ba10dd (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - レイさん» とても楽しく読ませてもらっています!だけど途中出てくるサヤって何ですか?そこだけ気になります! (2020年2月11日 16時) (レス) id: b3f37caf6d (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 七七四さん» いつもコメントありがとうございます(泣)七七四さんの想像、わりといい線いってますよ〜!確実に言えるのは、バッドエンドではないです(笑)今ちょうど、最終話まで突っ走ろうと奮闘していますので、またちょくちょくコメントいただけると喜んじゃいます…(滝涙) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 7b17ba10dd (このIDを非表示/違反報告)
七七四(プロフ) - このお話と弍と、星が赤くなるのを祈ってます(^o^)。何度押しても一回だけしか反映されないのがもどかしいです笑。因みに想像と言っても『幸せな結末かな?しあわせつないかも。おぞましあわせつないもあり得る!』な漠然とした想像しかできません。笑 (2020年2月6日 20時) (レス) id: 14bdff1be1 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 七七四さん» わあん!ありがとうございます( ; ; )本当に嬉しいです、、私は逆に七七四さんの想像が気になります(笑)婚約教祖の考察係ですかね?(大袈裟)だいぶ下書きも進んでおりますので、更新を絶やさないように頑張りますね〜!七七四さんもお身体にはお気をつけて! (2020年1月29日 21時) (レス) id: 7b17ba10dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2020年1月2日 23時