婚約者は教祖らしい 【童磨】壱

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「逃げようとしたって無駄ですよ、隠そうとしたって分かってますからね」

『な、なんのこと？』



背後のヒナにバレないように刀は前に隠してるけど、バレちゃってるってこと？かな？



「その刀ですよ！」



ヒナの雷のような声が響く

で、ですよね…



「まったく。よく飽きませんね。刀なんて持って。」

『飽きないよ？だって私には色の呼吸の血が流れてるから』



自信を持ってヒナに体を向け直すと、やっぱりヒナは鬼の形相…


ではなくて、珍しく困った顔をしていた



「はあ…奥様がお呼びですよ、今から屋敷に向かうとかなんとか」



え、、、よりによって今日


なぜ今日お母様の元へ行くの。



『今ですか？』

「はい」



お母様に会うと毎回悪いことはしてないかって聞かれるし、
　

琴の出来はどう？なんて聞いてきて、弾きたくもない琴を弾かないといけなくなる。


いや江戸のお嬢様かって。


時代はもう大正よ、


行きたくない


非常に行きたくない


けど、行かなくちゃ…なんだよね


私は地面とくっついて離れないお尻を上げようとする…




『痛いｨッ』



激痛

さっき挫いた足が痛む



「また足を挫いたんですか！？」

『う、うん…』

「はぁ…しょうがないですね。これじゃあ歩けないでしょう？私が背負いますから」



ヒナは困った顔で私の前にしゃがむ


さっきまであんなに怒ってたのに。


ヒナは本当は優しいんだよね、


私はヒナの笑った顔が好きだよ
　


『ごめんね、ヒナ』



重たくてごめんね、いつか私がおんぶしてあげるから


色の呼吸が扱えるようになったら、私がたくさん、色んなところの食べ物や物を持ってきてあげるね



『ところでどうするんですか？」

『ん？なにが？』

「お屋敷に行くじゃないですか！その足で行けるんですか？」

『無理ですね』



そんなの当たり前に無理ですね

力を入れるだけで痛むんだもん

隠していこうとしても絶対バレる…



『ヒナ、私体調が悪いってことに…』

「はぁ…そうですね、今回だけですからね」

『ありがとう…！』



構いませんよ、と照れを隠すヒナ

多分今、顔赤いだろうな(笑)



『今度の夜市で、お団子、食べようね』

「いいんですか？」



お団子が大好きなヒナ


パァッと顔が晴れた音が聞こえたような気がした


同時に梅の花がやけに綺麗に見えた

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