婚約者は教祖らしい 【童磨】壱

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童磨は私の手を引いて歩く


三日月が綺麗だと言うと、俺は満月のが好きだけどなあと言われてしまう



『あなたと見る月なら私は全て好きです』

「そうかあ〜きみはそんなに俺のことが好きなんだなあ。あの時は結婚したくないと言っていたのに」

『っ！昔のことなど忘れてください』

「嫌だな！ずっと覚えているさ」



そういって私の肩を抱き寄せる


近づく距離にドキリと胸が高鳴る



『寺院はなぜこんなにも遠いのですか？』



自分の頬がほんのりと赤く染まったのを誤魔化すように聞く



「うーん、まあ色々あってねえ。いつかその理由も教えてあげるねえ」



ふーん、訳があるんだ


たまたまってわけでもないみたいで。


気になるけどいつか教えてくれるのならまあいいか


そんなこんなで話していると寺院が見えた


たくさんの人に慈悲を与える童磨


そしてその暖かさを、周りの人に返してあげる信者たち


素敵な関係だと思う


ほら、教祖様ってお出迎えが来る


やはり女ばかりで、男は数えるほど


帰るたびにこうして女にチヤホヤされるの？


結婚したらなくなるかな？


なくならないだろうな…


たってほら、みんな目がハートだもん


その瞬間に手を離される


…名残惜しいな、なんて



「今日からこの子が入信するから、この子に部屋を与えておくれ」

「かしこまりました」



いつものあの男の信者が言う


信じられるのはこの人しかいないかも…



「あ、この子は俺の大切な子だ。なるべく俺の部屋の近くにしておくれ？」

「…あ、かしこまりました」



新参者で何者なんだと言わんばかりの表情と動揺を見せる男


女の信者もなに？って言いたそう…いや言ってる…


ごめんなさい…婚約者じゃないけど婚約者です…(意味不明)



「くれぐれもこの子をいじめるようなことはしないように。あ！でも俺の信者たちはみな優しいからな！そんなことはしないか！」



ぎくってしてるじゃん


いや、するつもりじゃん


でもさすが教祖


釘の刺し方がうまい…



「さ、部屋の用意ができるまでは俺の部屋で過ごそう！おいで、A」



離していた手をまた繋いで、自室へと案内してくれる童磨


冷たい手


冷ややかな信者たちの目線


それでもこうして、あなたと過ごせるから私の心はとても暖まります

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