キヨレトの話。

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嘘、でしょ……？








この光景が夢なら早く覚めてほしい。




しかしこれは紛れも無い現実。









笑い合う2人をもう見たくなくて、その場から離れる。




当てもなくふらふらと歩いた。









もともと、俺だってレトさんだって男が好きなんじゃない。





だからレトさんが女の人といたって別に不思議じゃないんだ。




きっと他から見ればお似合いな2人なんだろうな。





分かってた。



そっちの方がレトさんだって幸せになれる。









でも……







でも………









それでも俺はレトさんの事が好きだから……。









せめて最後にレトさんの幸せを願わせて。









きっとレトさんから別れを告げられる日は近い。






だから何も言わずに出て行こう。









その方がレトさんも楽だよ。









家のなかに入ると、今まで堪えてた涙が一気にあふれ出た。





「う…あ、え……ぅっ」






ごめん、ごめんねレトさん……


幸せにできなくてごめん。





あの人とお幸せに。





柄にもなく、しゃくりあげながら大声で泣いた。


レトさんとの楽しかった日々を思い出しながら。









涙が落ち着くと、荷物をまとめはじめた。






この家に来た時は荷物少なかったのに。


今ではすごい多い。



レトさんとお揃いで買ったマグカップとかキーホルダーとかその他たくさん。




レトさんとの思い出は捨てたくなくて、形に残ってるものを
鞄に押し込んだ。






最後に「さよなら」と書いた手紙とこの家の鍵を置いて

レトさんとの愛の巣を去った。

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