リップの魔法 ページ17
・
かがみ越しに感じる視線。
「なーに？Aちゃん。」
今は絶賛スプパラ期間で髪の毛はふわふわのポニーテールで
先程織山くんにして貰っているのを横目に俺もセットしていた。
「りゅせ、リップどっちがいいと思う？」
って持ってきたのはピンクの可愛らしいリップと赤め大人っぽいのリップ。
「んー、Aちゃん今日ふわふわしてるからピンクかな」
「じゃあピンクにしよー」
と間延びした声で何故か選ばれたピンクのリップを渡してくるAちゃん。
「え？塗らないの？」
「塗るよ？りゅせが」
「え？俺が？」
「そうだよ？？」
あたかも当たり前でしょ？って感じのテンションでかわいく首を傾げるAちゃん。
えっと、俺を殺す気ですか？
確かに思い出せば、コンサートや舞台では毎回誰かにリップを選んでもらって塗ってもらっていた。
前回は確か青木くん、その前は黒田くん。
かといっても毎回だいたい同じメンツをぐるぐるまわしてただけで俺に回ってきたことは1度もなかったのに。
「なんで、俺？」
「いや？だったらいいもん」
ってちょっと寂しそうに俺からリップを取ろうとするから、
片手でAちゃんの手首を掴む。
「りゅせ？」
少し不安そうな瞳に俺がうつる。
「ここ座って？」
俺の膝に跨るように抱き上げる。
「塗ってくれるの？」
「ん、俺でいいなら」
リップのフタを外しながらこたえるとんふふって嬉しそうに笑うからかわいくて仕方ない。
まぁ、後ろから感じる複数の視線は今は怖いからとりあえず無視をする。
「塗るから動かんで」
って言うと大人しく俺を真っ直ぐ見つめてくるから、震えそうな手を押えてほっぺに片手を添えて、小さな唇をピンクに染めていく。
うん、我ながらいい感じ。
少しラメのはいったそれに俺を我慢させるの必死で、
これ俺、後ろからの視線がなかったらキスしてんなって馬鹿なことを思う。
「はい、できましたよ、かわいいね」
「ありがとう！りゅせのおかげでA今日もファン増えちゃう」
なんてにこにこしながら俺から降りようとするから、
なんでかまだ一緒にいたくて腰をグッと引き寄せてぎゅっと抱きしめる。
「りゅせ？」
「はい、レッドカード」
って後ろから頭を軽く叩かれる。
「いたっ！湧くん！」
「ここまで我慢してやったんだから」
「はい、」
怖い、、やっぱり、湧くん最近Aちゃん愛増しすぎてない？
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 684人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にゃん | 作成日時：2023年2月5日 3時
