泣き虫ちゃん ページ25
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織山から朝聞いた、昨日のホテルでの出来事と今ちょっと抱え込んでる気がするって言葉。みんな真剣になって聞いて、話し合ったけど答えなんか導くことはできなかった。
とりあえず様子を見て気にかけるようにはしようってことにはなったけど、織山の話してた言葉も嘘なんじゃないかってくらい裏ではいつも通りのA。
でも、なんとなく1公演目が終えた今、あのこに寄り添ってあげないといけない気がした。
「A〜？？」
先程まで俺の近くにいたのに自然といなくなっていたあのこを探すために廊下をうろつく。
見つけた。
廊下の人影があまりない隅っこで壁に頭をつけてしゃがみこんで声を押し殺して泣いてるA。
「なーに、一人で泣いてんの、」
頭に撫でながら俺も同じようにしゃがみこむ。
「わくちゃ、、」
あげた顔は既に目が真っ赤で、不安そうな瞳が俺の胸もぎゅっと締め付けた。
彼女を力いっぱい抱き締めて、背中を撫でると、
俺の胸に顔を埋めて、でも声を押し殺して泣くA。
「なおくんに話聞いてもらって、もう大丈夫と思ったのに、ごめんなさい、｣
「謝ることなんかないよ、全部思ってること言ってみ？」
「あのね、、昨日客席降りした時に、ファンの子からいつ居なくなんの？って言われてね、
最近はファンの子に近づく機会があんまりなかったから久しぶりにダイレクトにくらっちゃった、笑
だめなのに、たくさん応援してるくれるファンの子だって沢山いるのに、泣いちゃいけないのに、強くならないと、｣
そこまで言うと声を出して泣き始めるA。
「泣いていいんだよ、強くなんなくていいよ、俺が守るっていってるだろ？
ただ何回も言ってるけど言ってくんないと守ってやれないから。ちゃんと思ってることは話して欲しい、｣
泣き虫なのにちょっと意地っ張りで、本当の顔を隠しがちなこの子に俺たちは何度どうしたらいいのかって迷った。
でもその度に、ちゃんとその時にこの子に寄り添ってあげようって決めたから。21人もいるんだからって、
「Aがさ、今日の挨拶で言ってたじゃん？自分は何がてきてるのわかんないっての、
俺はAに何度も救われたことあるよ。他の奴らもAがいたから頑張れたってことたくさん聞いたよ？Aは何もできてないことなんてないんだよ、沢山頑張りすぎちゃくらいしてくれてる。
だから、もう俺たちの前では強がらないで。｣
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年2月5日 3時
