図書館戦争 トリップ少女とライブラリータスクフォース

話したい事は一気に話す派？区切って話す派？ ページ12

「まず、今が私の知る『図書館戦争』のどの時期なのか、です」
「時期？」
「はい。笠原さん達の教育期間は終了してますか？」
「終わってるよー」
「じゃあ、配属は決まってますか」
「つい先日、発表したところだ」
「なるほど」

やっぱりその辺ですよね。じゃあまだまだいろんな事件が起こるわけだ。

「私は、全部で６冊に及ぶ図書館戦争の内容を全て覚えています。シーンによっては、セリフも一言一句漏らさず記憶しています」
「…すごい記憶力だな」
「…よって、これから先に起こる事件やトラブルのきっかけ、犯人、結末、解決法。全てわかります」

全員に少しばかり動揺が走る。

「それを皆さんに伝えることは簡単です。その事件を回避することもたやすいことでしょう。…ですが」

一度言葉を切る。

「私は何も話しません。話したくありません」

言い切った。誓っていることだった。

「確かに、これから皆さんを襲う事件、トラブルは悲しいものもつらいものもあります。皆さんの中で、身体的もしくは精神的に攻撃を受けてしまう方が出る場合もあります。でも、その事件、トラブルがあって、その傷を負ったからこそ結ばれる絆が、開かれる未来があるんです。私は、あの事件もトラブルも傷も全てあってこそのあの結末だと信じているんです。私ごときが口を出したら、その結末がくずれてしまうかもしれない。それだけは嫌なんです」

本当に、嫌だ。あの結末だから図書館戦争なんだ。それを壊したら有川さんに申し訳が立たない。

「私が、あの結末が好きだからああなってほしい、っていうのもあります。けどそれより大きいのは、本が大好きだからです。一人の作家によって紡がれた唯一無二の物語。そしてその物語のひとつに、目の前で向き合えているという、私に与えられたこの奇跡。壊すなんてことは絶対にしたくないんです」

だから。

「私はなにも、一切、これから先のこの世界について語ることはしません」

そしてそれは、

「私だけじゃなくて、皆さんもそのほうがいいと思ってるんじゃないですか？」

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