らくがきの正体 ページ8
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「ドンヒョクくんって、彼女いないの？」
突然、Aが聞いてきたのでドンヒョクは飲んでいたドリンクが変なところに入りむせてしまった。
ケホケホ、と咳をしながらAの方を見ると、そんなにおかしいこと聞いたかな？というような顔をしている。
「そーいうこと、聞いちゃう？まだ俺ら、出会って初日だけど」
「ご、ごめん。だって、物理の教科書に書いてあったから気になって」
「え？なにが？なんか書いてあった？」
「うん、くまの絵と愛しのナナちゃんって」
「なにそれ、知らなかったんだけど」
「見てみなよ、描いてたから」
ドンヒョクはなんだそれ、と目を大きくさせてスポーツブランドのリュックサックをガサゴソと漁り、見つけた物理の教科書を机に置いた。
どこにそんなの書いてあったのと、ペラペラと紙を捲るがどこにもそんなものは見つからなくて、あれ？とドンヒョクが思っていると、Aがちょっと貸してと言い、教科書を手渡すと開かれたページは今まで見たことがなかった一番後ろのページ。
そしてそこにはAの言う通り、へんてこなくまの絵と、愛しのナナちゃん作、ドンヒョクに似てない？言う文字が。驚いたものだ。こんなのがあるなんて知らなかった。
「でも、これのどこが彼女要素あるんだよ」
「だって"愛しのナナちゃん作"って書いてあるじゃん。彼女じゃないの？」
"愛しのナナちゃん作"。ドンヒョクにはこの意味がよく分かっているので、勘違いを起こしているAがおかしくて、ぷぷっ、と思わず笑いをこぼしてしまう。
「これ、ジェミンが書いたやつだよ。ナジェミン。同じクラスで、俺らの後ろの席にいるやつ。覚えてる？」
覚えてる？と問いてみると、うーんと考えていたが、もしかして、あのアイドルみたいな超イケメンの？と思い出したようにAが言った。
ジェミンがアイドルみたいな超イケメン、と言われているのにちょっとだけモヤついたが、たしかにあいつは顔はいいので、そのジェミンだよ。と返した。
「でもなんでジェミンくんがナナちゃんなの？」
「それはあいつのあだ名っていうか。ジェミンがぶりっ子するときによく使うんだよ、自分でナナちゃんって」
「へぇ、なんかジェミンくんって面白くて可愛いんだね。話してみたいなぁ」
「やめとけ、あいつは顔しか良くない。性格は俺より変わってる」
「じゃあドンヒョクくんも変わり者なんだ、おもしろいね」
「お前ちょっと馬鹿にしてんだろ」
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作者名：しゃしゃねこ | 作成日時：2021年4月7日 23時
