予感 ページ2
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変わらない毎日。今日が昨日となにか違うとするのならば、昨日より少し気温が低く、肌寒いことぐらいしかないだろう。
季節は夏が過ぎ去った秋。体育祭も、文化祭も終わった高校2年生の秋はそろそろ真剣に進路実現に向けて動き出さなければならなくて、ドンヒョクにはそれがどうにも面倒でうんざりしていた。
あーあ、ずっとこのままでいいのに。別に大人になんてなりたくない。
席の近い親友のロンジュンとジェノ、ジェミンの話を机に突っ伏してぼんやりと聞きながら、あー、とかうん、とか下手くそな相槌を打っていると、ロンジュンに今日のお前なんかだるいんだけど、と背中を一発叩かれてしまった。それにドンヒョクはいつものように、うるせえよ、と一発叩き返したのだった。
チャイムが鳴り響き、担任がクラス名簿を持って教室に入ってくる。さっきまで机に突っ伏していたけれど、担任が入ってきたのと同時に頭を上げて、学級委員の号令とともに立ち上がり礼をする。毎朝これの繰り返し。何にも変わらない。決まり事のようにただこなすだけ。つまらない。非常につまらない。もっとなにか、ワクワクするような、ドキドキするような、刺激的な、何かがあればいいのに。
「えー、今日はお前たちと新しく時間を過ごす仲間が増える。…入ってきなさい」
いつもならこのまま1日のスケジュールを説明されるだけなのに、今日は一味違った。いつもは言わないセリフ。
入りなさいと言う声とともに閉じられたはずのドアが遠慮がちに開いた。何かが起きる予感がして、ドンヒョクの中がざわめき始める。
「初めまして。今日からこのクラスで過ごすことになりました。AAです。宜しくお願いします。」
これだ、これ。
全身に通う血が逆流するかのやのように暴れて、胸の鼓動が高く鳴って鳴り止まない。目の前の動きすべてがスローモーションのように見えて、耳に入る音は全てガヤのように聞こえてくる。
彼女の周りだけが、別次元のように、光って見える。
「…やばい、だろ」
待ち望んでいた、ワクワクさやドキドキ、刺激的なもの。全てが今、ここに。
彼女が現れたこの瞬間。ドンヒョクは一瞬でさっきまであれほどつまらないとしていた思考回路全てが彼女によって塗り替えられ、刺激的なもの、へとかえられていったのだった。
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作者名：しゃしゃねこ | 作成日時：2021年4月7日 23時
