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スタジオを出るとすぐ隣に非常階段に続く扉があり、
そこから2人の声が僅かに漏れていた。
やはり………!
ゾマさんめ、こっそり抜け駆けして!
さくらちゃんはみんなのアイドルなのに!
まぁ、ゾマさんがガチなら応援するけどさ。
俺は探偵団の名にかけて、こっそりと聞き耳を立てる。
…
「別に洗濯しなくてもいいですよ?」
ゾ「やだ、汗かいたもん」
「じゃあ後日ってことで、私戻りますね」
ゾ「それもやだ」
「なんでですか、笑」
ゾ「もうちょっと2人で話そうよ…」
「……バレますよ、」
ゾ「じゃあ終わったら会ってくれる?」
「…ダメです。」
ゾ「…そっか………」
なるほど?
ゾマさんがさくらちゃんのこと好きで
アタック中って感じ??
やっっぱり抜け駆けしてた…!!
でもさくらちゃんはその気無さそうだなぁ、
残念だけど。
ゾ「ごめんね、迷惑だった?」
「…迷惑とかじゃない…、です。」
ゾ「普通に嫌い?」
「……嫌いじゃないですよ」
ゾ「好きな人がいるとか?」
「…………」
ゾ「ごめん、がっつきすぎてるね、笑」
「ごめんなさい、あんまりこういうの慣れてなくて…
どうしたらいいかわからないです…」
ゾ「そんなに可愛いのに?」
「可愛くないです………」
ゾ「かわいいよ? だから焦る…
他の人にさくらちゃん取られちゃいそうで」
ゾマさん…超本気だなぁ…
これ以上聞くのは申し訳ない気がする。
俺は静かに離れて、スタジオが入っているビルの
一階でしゃがみこんだ。
事実、さくらちゃんは可愛いし
なんだろ、ゆるキャラみたいな感じがある。
可愛いの原石みたいだから、
本人にも気付かれないように推したいって
俺ら3人の思いは一致してた、はずなのに。
どうやらゾマさんはリアコになってしまったみたいだ。
ふう……俺らのさくらちゃんだったのに…
でもゾマさんが本気なら仕方ないかぁ。
しばらく1人物思いにふけたあと、
スタジオに戻ろうと上まであがり
ちょっとの好奇心で、非常階段に続く扉に
再び聞き耳を立ててみた。
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作者名:まるさ | 作成日時:2022年12月12日 11時