▶︎元気のない彼(水)__01 ページ35
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*あなたside
と「…おはようございます……」
珍しくとぅーし君がボソボソと消え入りそうな声で
挨拶をしながら入ってきた。
ド「なに?元気ねーじゃん、」
と「…そうすか?そうでもないですよ」
誤魔化したいのか、話したくないのか
バレバレな嘘で軽く交わしている。
何かあったんだろうなぁ、て思うけど
こういう時自分の立場では変に詮索もできない。
心配だけど、本人を信じて見守るしかできないのが
ちょっとだけ辛い。
* * *
仕事が終わり、各々解散。
今日は経費精算したいから会社寄ろっと。
「お先に失礼します。」
と「さくらちゃん会社寄る?」
「? はい、」
と「俺も行く用事あるから一緒に行こ」
「代われることならやっときましょうか?」
と「んーん、大丈夫。」
しんどそうだから早く帰って休んで欲しいけど。
暗い顔のまま行くという彼に
「そうですか、」と返事をして歩き出す。
建物を出たところで社用携帯が鳴る。
とぅーし君にお詫びを入れてから携帯に出る。
「もしもし?お疲れ様です!」
先輩からの業務連絡で、話してる間に
徒歩圏内にある会社に着いた。
自分のデスクに座り、
片手間で作業をしながら電話を続ける。
横目でとぅーし君を見ると、
来客用のソファに座り、スマホを弄っている。
何しにきたんだろ?
誰か待ってるのかな?
5分ほどで電話は終わり、そのまま仕事を続ける。
単純作業だけど地味に集中力がいる。
気付いたら1時間ほど経っていた。
あぁ、腰が痛い。
かえろっと。
とぅーし君のいたソファを見ると、
同じ体勢でスマホを見ているとぅーし君がいた。
「…用事は終わりました?」
と「んー、…あともうちょっと。」
いつのまにか進んでるようだけど
さっきからスマホ弄ってるだけに見える…
なんとなく置いて帰るのは気が引ける。
「手伝いましょうか?」
と「いいの…?」
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作者名:まるさ | 作成日時:2022年12月12日 11時