__恋する (ページ34)

今日:21 hit、昨日:31 hit、合計:14,671 hit

__03 ページ34

_

*現在

あ「と、まぁこんな感じよ」

あつきさんは昔話を披露して、最後に
「これでもほんの一部だからね」と付け足した。

と「しゃちょがさくらちゃんのこと好きってことですか？」

あ「じゃない？」

あつきさんは、さぁ？と言いたげに眉を少しあげる。

あ「好きなら手に入れればいいのに
　ずっと飼い殺しだもん。可哀想だとは思うよ。」

と「たしかに。さくらちゃんずっと彼氏いないって
　言ってました。」

あ「……まぁ、おまえもバレないようにな。」

あつきさんは話し終えると再びスマホを開き、
一瞬で自分の世界に戻っていった。

興味深いけど、皆が諦めるのも仕方ないのかな
と少し怖気付いてる自分がいる。

＊＊＊

数日後、事務所に寄ると帰る支度をしていた
けいたんさんに会った。

け「お、とぅーしじゃん！飲みにいかね？」

と「行きたいです！！」

飲み、という単語を聞いて一瞬で喉が渇く。
この間のことなんて忘れて足早に歩くしゃちょに着いて歩く。

ーー-

いい感じに酒がまわってきたころ、
ふとこの間のあつきさんの話を思い出した。

と「しゃちょはさくらちゃんのこと
　どう思ってんですか？」

け「なに急に。笑」

と「いやなんか、…なんとなく。笑」

け「…んー、しっかり者で頼りになるよね」

と「いやそうじゃなくて！！
　女性としてです！！」

け「えー？なに、お前も狙ってんの？笑」

と「お前も？」

しゃちょはグラスを強めにテーブルに置く。
とっくの昔にどこかにいったコースター。

グラスに張り付いていた結露が、
しゃちょの指に滴る。

け「オリメンも何人かいたんだよねー」

と「ほう…」

け「んでお前もなの？」

と「うーん、どうでしょう？
　そうって言ったら怒られます？笑」

け「まぁ風紀乱さなければいいんじゃない」

と「いいんすか！？」

思わず前のめりになってしゃちょの顔を覗き込む。

しゃちょは顎に手を添えて、少し考えてから
不敵に笑う。

け「……まぁ、俺から奪えるなら？」

再びグラスを持ち、俺を見下すようにして
残りを一気に飲み干す。

と「やっぱ好きなんじゃないっすかー！笑」

け「好きとかそういう軽いのじゃないから俺は」

と「…？なんなんすか？」

け「ん？支配？」

と「しゃちょ…、怖いです。」

冗談かのように笑い飛ばしてるけど、
目は笑ってなくて軽く恐怖を覚えた。

「敵わない相手(黒)」 end

※いつか続編書きます。