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▶︎綺麗な人(赤)__01 ページ26

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あつきさんほど、綺麗な人はいないと思う。


今日ももこもこのアフロを揺らして
スタジオ入りするあつきさん。

長い指でイヤホンを取り、
テキパキと支度を始める。


私がなんもない人間だからか、
あつきさんを見てると眩しいな、って思う。

夢中になれるものがあって、
たくさんの人を魅了する人格を持っていて、
時代を変えるパワーを持っている。

あつきさんが選ぶ女性になりたかった…


どうしようもない現実に気付かないフリをして、
黙々と撮影準備を始める。



ーーー


撮影が終わり、各々好きなことをやる時間。

早く帰る人と、個人練で残る人。

私は丁度今日までにやりたい仕事があったので
隅でパソコンを弄っていた。


マ「さくらー、俺帰るけどあつき任せていいかな?」

「え?」

マ「そこで寝落ちしちゃってるから、
  適当に起こして帰らせてー」

「あ、分かりました。」

「ごめんね、ちょっと急いでて。
 じゃ、おつかれ」


急いで上着を抱えてスタジオを出て行くマロンさん。

相変わらずお忙しそうだなぁ、って思いながら
振り返ってあつきさんの方を見ると、
口元を上着で隠しスヤスヤと静かに眠っている。

真下にストレートに伸びる睫毛、
薄そうな皮膚、揃えられた太めの眉。


全部、全部、造り物みたいに綺麗に思えちゃう。


「あつきさーん…」

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作者名:まるさ | 作成日時:2022年12月12日 11時

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