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結局、5時限はサボって
ぐるぐる回る頭を動かしながら廊下を歩く。
志麻くんのかっこよく…もない言葉がなぜか重くなった気持ちを軽くさせた。
吹っ切れた、のかな。
とりあえず、話してみよう。
自分の力で、声をかけよう。
一緒に帰ろって
それからだ。
あ、でも先約あったらどうしよう。
Aのことだから、もう友達できてそう。
くそ、このマイナス思考になる頭をどうにかしてプラスにしていかないと。
そして、教室に着く手前、渡り廊下にAの後ろ姿を見つける。
きっとあれ、そうだ。
チャンス?
よし、と意気込みゆっくりAの近くに歩いてく。
そんなとき耳に入る悲しそうで今にも消えそうな声。
「わかってる、……すぐ帰るから、もう少し、一緒にいさせて…」
誰かと、電話?
相手は、誰?
儚いその声に、なんだか、胸が痛くなって、来た道を静かに戻って行った。
ーーーーー
時間なんて、すぐに過ぎてしまうもので。
ぼけっとしてたら、もう放課後。
部活に向かう人、委員会に向かう人、帰る人。
たくさんの人の声、会話が聞こえてくる。
真っ白のままのノートを閉じると、また窓の外を見つめる。
自由に空を飛ぶ鳥がなんだか羨ましくなる。
なんか考えて飛んでんのかな。
ぼーっと、どこか彼方に飛んでいく鳥を、見えなくなるまで見つめてると、ふいに窓に反射して映った顔に、肩が跳ねる。
「祐太、くん…」
気まずそうに話す君の方へ緩みかけてる頰を隠して視線を向けると、
うつむいたまま、ぽそっとこぼした言葉を俺は聞き逃さない。
「一緒に、帰ろ」
思わず、抱きついてしまいそうだった。
自分から言いたかった言葉を言われたことに関しては、少しだけ罪悪感があるけど、たくさん話そうと決めて、
力強く「うん。」と返事をした。
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高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…!これからも応援しています、頑張って下さい! (2017年12月29日 9時) (レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!!読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります!ありがとうございました! (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します!!すごくいい話ですね!!泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください!!応援してます!! (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまみや。 | 作成日時:2017年1月10日 17時