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瞬きをすれば零れ落ちる無色透明な雫。



思わず、君の体を抱き寄せてしまう。



その後すぐ、そーっと腰に回った温もりが嬉しくって、
少しだけ腕に力を込める。





俺だけの一方通行じゃなかった



───……両想い、なんだ、


ずっと、ずっと、こうなりたかった




.




「………ほんとに、俺で………いいの?」



でも、不安で、

夢のようで、

信じられなくて。



鼻をくすぐるラベンダーの香りでさえ、夢なんじゃないかと疑ってしまう。




だって、少し前までずっと片想いだと、

一方通行だと思っていたのに。


なんだろうこの展開。
本当に、漫画みたいだ。


こんな奇跡、ありえる?




「裕太くんじゃないと…だめなの」

「……」

「…裕太くんが、いいの、」



両想いだとわかった瞬間に臆病になり、疑って。



“でも、” そう言いかけたら

それを遮るようにAのそれと、俺のが重なった。



なにが起きたかわからないうちに、ゆっくり離れてく柔らかく綺麗な形をした桜色の唇。




「好きっ」



状況を把握できてない俺に、畳み掛けるように、



微笑む君は、

欲しかったその言葉を、俺へと届けてくれた。






優しくて、天使みたいな笑顔に


堪らなくなって


少し強引に君の顔を包み自分の唇を押し付けた。




軽く触れるだけのキス。

それだけなのに、俺の頰になにか生温いものが伝っていく。




好きな人と結ばれる。

これってこんなにも

幸せで

嬉しくて


泣きそうになるものなんだ。





ゆっくりと顔を離し、額をくっつける。


近距離で視線が絡むと、お互い恥ずかしくて笑い合う。

少ししたらどちらからともなく、唇を合わせる。





夢なら醒めないで


弱虫で臆病な俺はまたそんなことを願ってしまうけど、



そのくらい幸せで、仕方なかった。





「俺も、…………好き。」


溢れる涙は止まりかたを知らない。

だけど、これは悲しいものではなくて

嬉しくて、幸せで、暖かいもの。



君への想いを口にし、笑顔を向ければ君も笑ってくれる。





9年前、悔しくて仕方なかったあの時の俺に言ってやりたい。


大丈夫だぞ、

想い続けていれば叶うから、

だからその時が来るまで頑張れ。と。

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高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…!これからも応援しています、頑張って下さい! (2017年12月29日 9時) (レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!!読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります!ありがとうございました! (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します!!すごくいい話ですね!!泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください!!応援してます!! (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまみや。 | 作成日時:2017年1月10日 17時

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