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部屋に入ってすぐ、布団に潜り込んでAに背を向けた。
でも、帰ってほしいわけでもなくて。
気配がするだけでも少し安心するから
いてほしい。
なんて、言わなくても伝わればいいのに。
静まり返る部屋が、居心地が悪くて、
聞こえるかわからないくらいの音量で、声を出した。
「……なぁ」
「うん」
意外と近くで声がして、寝返りを打つと、ベットの横に座るAがいて。
耳にかけた髪の毛が落ち、ふわっと舞う。
その髪の毛を指に絡め、遊んだあと、Aと視線を合わせた。
「…帰る?」
「……帰ってほしい?」
ああ、ずるい。
やっぱりAはずるい。
そんなの………
「そばにおって」
って、言えって、言ってるようなものでしょ。
くるんとした大きな瞳を細めて、優しく微笑むと「うん」って、言いながら髪をいじってた俺の手を握る。
素直に、握り返したあと、目をつぶった。
でも、起きたらいなくなっていそうで、それもなんか嫌で、また目を開けようと思うけど、
困らせたくない、
そう思って、もっと強く瞼を閉じた。
こんな子供みたいな行動。
うざったいかも。
ああ、全部。
風邪のせいにしてしまおう。
……でも、ひさびさに音楽を聞かなくても眠れそうだ。
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高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…!これからも応援しています、頑張って下さい! (2017年12月29日 9時) (レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!!読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります!ありがとうございました! (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します!!すごくいい話ですね!!泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください!!応援してます!! (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまみや。 | 作成日時:2017年1月10日 17時