１０ ページ11
まだ少し明るい道を二人で並んで歩く。
しばらく続く沈黙に、俺の心臓は変なふうに波打つ。
秋だというのに額に汗が滲みそう。
沈黙を先に破ったのは、A。
「お昼休み、ごめんね」
口にした言葉にびっくりしてAの方に視線を向けると、
まるで計算されていたかのようなぴったりなタイミングで、視線が絡み合う。
ふわふわと笑うA。
でもその笑顔は、儚くて寂しそうで。
守れないくせに、守りたい、とか思っちゃうくらいに、寂しそう。
学校にいた時も。
君は、寂しそうに笑っていた。
…どうして？
「いや、俺も、ごめん」
「裕太くんが謝ることないのに」と視線を外しながらまた寂しそうに笑うAに、「なあ」と声をかける。
「どうしたの？」
笑顔を崩さないAに、少し怖くなって、言葉を飲み込もうとしてしまう。
拳を強く握って、なんとか声を絞り出す。
「そんな風に、笑わんといてや。」
「…え？」
「なんか、無理してる、俺の勘違いだったらごめんやけど、寂しそうに笑ってる。
俺、そういう笑顔見たいんじゃないんよ」
俯きながらなんとか出した言葉を言い終わると、一歩後ろを歩く葵の影が止まった。
俺も足を止めて、Aの方へ向く。
君は、
「ごめんね」。
そう言いたげにまた笑うんだ。
「……見抜かないでよ。」
小さな声で言った言葉は風の鳴く音でかき消され、俺の耳には入らなくて。
え？
って聞き返すと、なにも返ってこなくて、
じっとAを見てると何か考え、俺の後ろに視線を向けた。
「立ち話もなんだからさ、あそこのカフェ入らない？」
Aが指をさしたほうをみると、よく、うらたがいくカフェ。
テスト前とか、このカフェで４人集まって勉強会とかする場所。
「わかった。」と呟くように言うと、いつの間にか先を歩くAの背中を追いかけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 141人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…！これからも応援しています、頑張って下さい！ (2017年12月29日 9時) (
レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです…！！読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります！ありがとうございました！ (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します！！すごくいい話ですね！！泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください！！応援してます！！ (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あまみや。 | 作成日時：2017年1月10日 17時
