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やっとのことで、一限が終わり、休み時間。


全く頭に入らなかった。
後でノート写させてもらわないと。


そして、当たり前のように、
みんながAの周りに集まる。


志麻くんも、興奮した様子で俺のところにやってくる。


「あれAちゃんよな!?センラの幼馴染のAちゃんよな!?」


「…たぶん、そうやと思う。」


たくさんの人に囲まれる、Aを見ては、ぐしゃりと前髪を掴む。

話すタイミングがない。


というかなんで話せば自然?


俺ってどんな風にAに接してたの?


そんな俺の心を読んだかのように、志麻くんは不思議そうに俺を見て、


「話しかけに行かなくていいん?」


って言った。


察しがいいのかただのバカなのか。


「…俺はええ。……志麻くん行ってきてええよ」


Aに向けていた視線を外して、志麻くんに言うと、
「もー!」なんて、頬を膨らませながら群れの中にの方に向かっていった。


男子高校生が頰膨らましてもキモいだけ。



呆れながら机に突っ伏すと、「センラァ!」なんて呼ばれ、頭を叩かれて、顔を上げる。


志麻くんかと思いきや、別の人。

くそ、志麻くんだったらボコボコにしばいてたのに。


外ハネ気味にセットされたブラウンの髪を揺らし、まんまるな瞳を輝かせて
やってやったぞ、といった顔で笑うこのチビは、隣のクラスのうらた。


こいつもまぁ、よく話すやつの一人。


ポケットに手を突っ込みニヤニヤと笑ううらたの腹にグーパンを軽く入れてやると、
「なに、」とぶっきらぼうに対応。


「数学の教科書貸してくんね?坂田に取られたまま帰ってこねぇんだよ!マジしばく。」


何かぶつぶつと呟き、チッと盛大な舌打ちを披露したあと、俺の方へ手を出してくるので、投げつけてまた突っ伏した。


「さすがっす先輩」


「はぁ…4限までには返してな。」


ふざけたように笑ううらたを適当にあしらい、窓の外を見つめる。

教科書貸すと誰かさんみたいに返さないからほんとは貸したくない。
まぁ返ってくる見込みがある奴なら貸すけど。


本日何度目かのため息をついて、ふわふわと浮かぶ雲をただ見つめた。

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高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…!これからも応援しています、頑張って下さい! (2017年12月29日 9時) (レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!!読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります!ありがとうございました! (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します!!すごくいい話ですね!!泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください!!応援してます!! (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまみや。 | 作成日時:2017年1月10日 17時

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