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「…よっ」





突然のLINE。



お見舞い来た



っていう志麻くんからのひと言のあとに、すぐにインターホンが鳴った。






家には誰もいないし、俺が出るしかない、と
だるい体を起こして玄関のドアを開けると、

コンビニの袋をぶら下げ、ふわふわと笑うAが立っていた。







夢?








…あ。あと志麻くんもいる。





「じゃあ、俺帰るわ」




役目は果たした!とでも言いたげに笑い、
Aに何か耳打ちをすると、
ひらりと手を振って俺達に背を向ける志麻くん。






回らない頭では、今の状況が理解できない






せめて説明してから帰ってくれよ。








志麻くんの背中を睨んでため息をつくと、Aに視線をずらした。








「…ご、ごめん、いきなり……し、心配で……」


「全然。ありがとう、……時間あるなら上がってってええよ」






うつむいたAに近づいて、さらさらした髪の毛を撫でる。


まさか来るとは思ってなかったから、
本気でうれしい。
風邪治るわ





おいで






と、少しだけ調子に乗り、ビニール袋を持つ手を握ると、小さく頷いて進みだした足。





玄関に入ると、「お邪魔します」と小さくつぶやき、ちゃんとローファーを揃える。




それをじっと見てると、視線がぶつかった。





照れたように微笑むと、思い出したかのように袋を漁りだした。






「ゼリーと…アイスとスポーツドリンク買ってきたの、どうぞ」





はい、と差し出されたビニール袋を覗き込むと言った通りのものが入っていて。



ありがと




って笑いながら返すと、アイスとかしまわなきゃな…とふらふらとした足取りでリビングへと向かう。


後ろから小さな足音が聞こえて、心があったかくなって頰が緩む。





冷蔵庫にしまい終えると、Aは心配そうに顔を覗き込んでくる。



「風邪、大丈夫?」


「…大丈夫やで」




びっくりして、そんな返事しかできなかった。




だって、目の前に、Aの顔。




Aの冷たい手が、自分の額に当てられてる。






顔を少し動かせば、キスできるなあ



とか考えてると、冷たい感覚がなくなってAの顔も遠ざかる。





「……熱いよ、」







心配そうに俺を見る君に、



無意識に伸ばした腕は、自分の腕の中へと引き寄せた。

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高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…!これからも応援しています、頑張って下さい! (2017年12月29日 9時) (レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!!読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります!ありがとうございました! (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します!!すごくいい話ですね!!泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください!!応援してます!! (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまみや。 | 作成日時:2017年1月10日 17時

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