４８ ページ48
.
「同窓会の時、ちゃんと返事出来なくてごめんね。」
『いや、俺こそ…』
小さく深呼吸をして、真っ直ぐに紫耀を見る。
「…わたしやっぱり、紫耀が好きだよ。」
『…』
「諦めようと頑張ったけど、ダメだった。」
あの日、高校生の時より大人びた紫耀の姿が、
わたしの手を引っ張って連れ出した紫耀の後ろ姿が
忘れられなくて。
あんなに悲しくて、苦しくて、忘れてしまいたいと思っていたのに。
「自分でも引くくらい、紫耀が好きなの。」
3年前とは違う状況で、目の前の彼はわたしから目を逸らすことなく聞いてくれて。
" 好き " と言葉にすればするほど彼への愛おしさが溢れて止まらない。
「わたしは、この先もきっと、紫耀しか好きになれない。」
10歳の頃のわたしはきっと、自分がこんなにこの人を好きだなんて気付いてないだろう。
こんなに好きになれる人に出会えるなんて奇跡だ。
好きすぎて苦しい。
言葉じゃ伝えきれないこの気持ちをどうしたら伝えられるんだろう。
そう考えてると、紫耀は優しく、でも強く、離れないように抱きしめた。
『…たくさん待たせてごめんね。』
「…っ、」
『こんなに好きでいてくれたのに、俺は…』
わたしも同じように強く強く抱きしめた。
『たくさん悲しませた分、ぜっっっったい幸せにするから、』
「…うん、」
少し身体を離し、もう一度わたしを見る。
『だから、俺と付き合ってください。』
ずっとずっと、求めていた言葉。
はい、という返事と同時にもう一度ギュッと抱きしめた。
紫耀はびっくりしながらも同じように抱きしめ返してくれた。
『大好きだよ、A。』
「…わたしの方がずっと前から好きだよ。」
『そんなの、すぐ俺が追い越すよ。』
そっと身体を離せば、どちらからともなく唇が重なった。
好きな人の恋人になれるって、こんなに嬉しくて幸せな気持ちになるんだ。
『…ふは、恥ずかしい？笑』
「…だって、」
『初めてじゃないのにね？』
ニヤリと意地悪な顔をした。
振られたあの日のことを言ってるんだ。
「…最低。」
『あー、ごめんって。笑』
ソファーから立ち上がったわたしを紫耀は軽々と抱き上げ、ベッドの上へ。
『…いい？』
「…でも、わたし、」
『わかってる。でももう、俺のにしたい。』
その日、私たちは今までの時間を埋めるように深く深く重なった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1734人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れお(プロフ) - 完結おめでとうございます！！主人公ちゃんの恋が実ってよかったです！！特に夏祭りのシーンが１番好きでした！！ (2020年7月17日 23時) (
レス) id: d4f299bb85 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - おめでとうございます！とっても読むの楽しかったです！ (2020年7月17日 23時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 完結おめでとうございます！毎回キュンキュンさせてもらっていました…！主人公ちゃんが離れてからの紫耀くんサイドとか書くつもりはないですか…？別れ方とか経緯とか知りたいです！あと良ければアナザーストーリーも読んでみたいです！！ (2020年7月17日 20時) (レス) id: 22f4b229dc (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - んあー……続きが気になりますッ！ (2020年7月5日 0時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 紫耀くんとのハッピーエンドが見たいです！更新楽しみにしています！ (2020年6月26日 9時) (レス) id: 7f99bf756c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：コビト
| 作成日時：2020年6月14日 22時
