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紫耀はわたしの腕を掴んだまま会場を飛び出し、
近くにあった小さな公園に入った。
「…ちょっと、なに、」
『…ごめん。』
「…え、？」
『ずっと謝りたくて。』
こちらに振り返った紫耀は、
泣きそうなくらい切ない表情をしていた。
『俺が1番Aの近くにいたのに、Aの気持ち何も気付けなかった。』
「…」
『たくさん傷つけたよね。ごめん。』
「…なに、今更、」
『分かってる。本当にごめん。』
そんな顔して謝らないでほしい。
それじゃまるでわたしが…
『…廉と、付き合ってるの？』
「…付き合ってないよ。」
『でも、一緒に住んでるって、』
「…そうだけど、廉とは何もないよ。」
わたしがそう言うと、固かった彼の表情が少し
穏やかになったように見えたのは気のせいだろうか。
「紫耀は？」
『え？』
「…彼女と、まだ続いてるの？」
『…別れたよ。』
「…え、」
『卒業して少しして、別れた。』
あんなに彼女に夢中だったのに、？
「…なんで、？」
『…Aに、傍にいてほしいから。』
紫耀はわたしを真っ直ぐに見つめ、そう言った。
ドクンドクン、と鼓動が早くなるのが分かる。
忘れかけていた彼を好きという気持ちが
じわりと蘇ってくる。
『あの日、無理矢理でもAを行かせなきゃよかったって
今でも後悔してる。』
「…紫耀、」
『Aが好きだよ。』
「…ぇ、」
『幼馴染としてじゃない。一人の女性として。』
「…うそ、」
『嘘じゃない。帰ってきてよ、こっちに…』
わたしはずっと、紫耀とこうなることを夢見てきた。
嬉しい。嬉しいはずなのに。
「…おそい、遅いよ、」
『…』
「わたしは、なんのために…、」
なんのために、3年も大阪にいたんだろう。
なんのために、頑張って忘れようとしていたんだろう。
廉「…A、！」
「…れん、ジンくん、」
後ろを振り返ると、公園の入口に息を切らした廉と心配そうに見つめるジンくんの姿があった。
きっと探してくれたんだろう。
廉は眉間に皺を寄せズカズカとこちらへ向かってくると、紫耀に
廉「…お前、これ以上Aを追い詰めんなよ。」
『…』
廉「A、行こ。」
そう言って廉はわたしの腕を掴んだ。
わたしは、紫耀の顔を見れなかった。
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れお(プロフ) - 完結おめでとうございます！！主人公ちゃんの恋が実ってよかったです！！特に夏祭りのシーンが１番好きでした！！ (2020年7月17日 23時) (
レス) id: d4f299bb85 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - おめでとうございます！とっても読むの楽しかったです！ (2020年7月17日 23時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 完結おめでとうございます！毎回キュンキュンさせてもらっていました…！主人公ちゃんが離れてからの紫耀くんサイドとか書くつもりはないですか…？別れ方とか経緯とか知りたいです！あと良ければアナザーストーリーも読んでみたいです！！ (2020年7月17日 20時) (レス) id: 22f4b229dc (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - んあー……続きが気になりますッ！ (2020年7月5日 0時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 紫耀くんとのハッピーエンドが見たいです！更新楽しみにしています！ (2020年6月26日 9時) (レス) id: 7f99bf756c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コビト
| 作成日時：2020年6月14日 22時
