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電車を降りて、新幹線に乗るホームに来た。

新幹線が来るまであと10分。

わたしは近くにあったベンチに腰を下ろして
廉にもうすぐ乗るよ、とメッセージをしていた時、



『…A!』



聞きなれたハスキーな声。
聞こえるはずないのにまさかと思ってその声の方へ向くと


「なんで、?」

『はぁっ、間に合った…』


目の前には息を切らして腰に手をあてている紫耀の姿。

なんで?どうしてここに?
聞きたいのに、動揺して言葉が出ない。



『…どこ行くの、』

「…へ、」

『どこ行くのって、聞いてんの。』



そう言う彼は今まで見たことないくらいに怒っているようで。

どうして怒るんだろう、
厄介な人がいなくなっていいじゃない。




「…紫耀に関係ないでしょ?」

『こんなデカい荷物持って、帰ってこない気?』

「…だったら、なに、」

『行くな。』


どうしてそんなこと言うのよ。
貴方には大切な彼女がいるでしょう?



「…もう、決めたの。」

『どうして。』

「…」

『Aがいないなんて、考えられないよ。』



もうやめてよ。
これ以上わたしの決意を踏み躙らないでよ。



「…いい加減にしてよ、!」

『…っ、』

「好きなのっ、諦めるって言ったのにまだ好きなのっ、」

『…』

「幼馴染は、嫌なの、っ…」

『…A、』

「…行って欲しくないなら、彼女と別れて。」

『…えっ、』


もう最後だ。どうにでもなれ。
そう思ったら、なんだって言えた。

自分がこんなこと言うなんて。



アナウンスが鳴り、新幹線が来た。



「…できないでしょ?」

『…』

「ごめんね、最後までこんな幼馴染で。」

『…待って、』

「…大好きだったよ、紫耀。」



いつの間にかボロボロ流れていた涙を拭いて
キャリーケースを持ち、新幹線へ足を踏み入れた。


振り返らず、中へ入った。

振り返ったらきっと戻りたくなってしまう。


大阪に着くまで、わたしは息を殺 して泣いていた。







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設定タグ:平野紫耀 , 永瀬廉、神宮寺勇太 , King&Prince   
作品ジャンル:恋愛
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れお(プロフ) - 完結おめでとうございます!!主人公ちゃんの恋が実ってよかったです!!特に夏祭りのシーンが1番好きでした!! (2020年7月17日 23時) (レス) id: d4f299bb85 (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - おめでとうございます!とっても読むの楽しかったです! (2020年7月17日 23時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 完結おめでとうございます!毎回キュンキュンさせてもらっていました…!主人公ちゃんが離れてからの紫耀くんサイドとか書くつもりはないですか…?別れ方とか経緯とか知りたいです!あと良ければアナザーストーリーも読んでみたいです!! (2020年7月17日 20時) (レス) id: 22f4b229dc (このIDを非表示/違反報告)
かいとん - んあー……続きが気になりますッ! (2020年7月5日 0時) (レス) id: fb912074b2 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 紫耀くんとのハッピーエンドが見たいです!更新楽しみにしています! (2020年6月26日 9時) (レス) id: 7f99bf756c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:コビト | 作成日時:2020年6月14日 22時

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