____Destiny. (ページ12)

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手を洗い、トイレから出ると…

紫耀「あ、」

『…え？』

居るはずのない人がトイレの前の廊下で壁にもたれかかって立っていた。

『平野…先輩…』

紫耀「おう。なんか…ちゃんと話せなかったからさ」

『え？』

紫耀「ごめん、なんか待ち伏せみたいな事しちゃった(笑)」

『っへ！？私の事待っててくれてたんですか！？』

紫耀「そう(笑)教室の窓から出てくの見えてあとつけてきちゃった」

『ス、ストーカーですよそれ(笑)』

紫耀「だよな(笑)ごめんごめん」

意外とすんなり話せてる自分が居て安心した。

やっぱり私、平野先輩の事好きとかじゃなくてボタンの事があったから気になってただけなんだ。

『あ…そうだ』

紫耀「ん？」

エプロンのポケットから小袋を取り出し、先輩へ差し出した。

紫耀「…なに？これ」

『第二ボタンです！今返しときますね』

紫耀「…え？なんで？」

『いや、だって…今日も彼女さんと来てるのに何も関係の無い私が貴重な第二ボタン持ってるのおかしくないですか？(笑)』

紫耀「彼女…？」

『だからこれ、是非彼女さんにあげて下さい！…って今更渡されても彼女さん困っちゃいますよね(笑)』

紫耀「ちょ、ちょっと待って？彼女って？もしかして、真奈美の事？」

『………？』

紫耀「あれ、彼女じゃないよ？」

『え！？！？』

紫耀「声デカいよ(笑)」

『え、あの人平野先輩の彼女じゃないんですか？じゃあその隣に居た人は？神宮寺先輩の彼女じゃないんですか？』

紫耀「ふはっ違う違う！(笑)あの4人は大学で同じ授業取ってる仲良いメンバーだよ。なんつーの？イツメン？ってやつ(笑)」

『えっそ、そうだったんですね…』

真奈美さんが先輩の彼女じゃないって事が分かり安心したのか自然と涙が流れた。

紫耀「…っえ？ちょ、Aちゃん？なんで泣いてんの？」

いっ今、名前！先輩が私の名前を呼んだ！！！

あのハスキーな声で名前を呼ばれる日がくるなんて思ってもいなかった。

紫耀「ちょ、ごめんって。俺が泣かしたんだよね？ごめんね？」

『大丈夫ですっ。私が勝手に勘違いして…』

紫耀「…勘違い？」

『…あっ。いや…別に…そんな…』

紫耀「俺が真奈美と付き合ってるって勘違いして勝手に落ち込んでたの？(笑)」

『いやっ落ち込んでなんかっ…』

紫耀「勘違いさせちゃってごめんね」

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