深澤センパイの思惑通り。［紫］ (ページ29)

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▽第二章：自分の気持ちと葛藤。ページ29

▽あなたside

阿部さんのせいで気付いてしまったこの気持ちにどうすれば良いかなんて分からなくて、

『·····どうしよう、今まで通り話せる自信ない、』

阿「なんでよ(笑)いつもと同じで良いんだよ？」

『そう言われても、』

前までの私はどうして深澤さんと話してた？

あぁ、もう分かんない。

だから、こんな気持ちになんて気付きたくなかったんだ。

深澤さん相手になんて叶いやしないのに。

深澤さんがモテモテなのは私が良く知ってる。阿部さんや岩本さん、渡辺さんや向井さんから聞くし、周りの女性社員だって深澤さんを好きな人なんて幾らでも居る。

きっと私なんてただの " 部下 " で、女としては視界にも入ってないだろうし、1mmも好意なんて抱かれていないと思う。

今、深澤さんに触れられた訳じゃないのに、前触れられた頭や頬、背中に回された案外逞しい腕とか優しいけど、どこか大人っぽい香りがすることを思い出してしまって、

顔から全てが熱くて、苦して。

阿「ふふ、真っ赤っかじゃん(笑)なんか色々思い出しちゃった？」

『こんなの、知らないです、阿部さんのせい、』

阿「あはは(笑)Aちゃんは、可愛いなぁ」

こんなの、ほんと良くない、ダメだよ、

なんて阿部さんに頭を撫でられながらそう思って、周りなんて見る余裕もなかった。

まさか、顔を真っ赤にした私を撫でる阿部さんを深澤さんが見てたとは思わず。