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ワンちゃん「 あの、ご飯出来ました 」
1時間半後、もう一度ワンちゃんは
彼女の部屋のドアをノックした。
『 …もうそんな時間ですか？ 』
彼女の返事の声はどこか眠そうだ。
ワンちゃん「 良かったら一緒に食べませんか？
もし、体調が悪いなら部屋まで運びますけど 」
『 ありがとうございます、
ダイニングまで行きますので。
…着替えたいので先に行っててください 』
ワンちゃん「 わかりました 」
ペタペタとフローリングを歩く。
少し前まで部屋に引きこもっていた
モモも、配膳を手伝っていた。
ワンちゃん「 やっぱり、部屋にいました。
寝てたみたいです、眠たそうな声してたから 」
サルサ「 そっか。寝起きだとあんま
重いもの食えないだろうし素麺で良かったかもな 」
トリハダ「 とか言って素麺めっちゃ
嫌いだったらどうする？ 」
サルサ「 お前ここまで作っといてよく言えんな 」
トリハダ「 例え話じゃん 」
どうでもいい会話をしていると、
右足を引きずりながら彼女が歩いてきた。
『 良い匂いですね、夕飯何ですか？ 』
サルサ「 素麺にしたんだけど…食べれます？ 」
『 はい、好きです。ありがとうございます 』
にこにこと愛らしい笑顔で彼女は答える。
けれど、トリハダは気付いてしまった。
少し腫れた目と、…彼女の手首の傷に。
質問をぶつけたい気持ちをぐっと抑え
彼女を椅子に座らせた。
自分もある程度大きな会社の息子。
そういった家柄に生まれた者の心労は
少なからずわかる。
けれども自分とは少し、いや、かなり違う。
…自分は、生まれてから今日まで自らの手で故意に
皮膚を切ったことなど一度もない。
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作者名：絢瀬.｡ | 作成日時：2020年5月21日 3時
