4 ページ10
.
家に着いて、Aの靴があるのを確認してから、ただいま！と声をかけても、返事がなかった。
洗面所で手を洗ってリビングに入っても、Aの姿がない。キッチンにも見当たらなかったので、すこし不安になり寝室に入ると、可愛らしい寝息を立てながら眠っているAが見えた。しかも俺の枕をぎゅっとつかんでいる。
｢A、A」
起こそうと3回 体を揺らすとゆっくり目を開け、目をぱちぱちしている。まだ夢と現実を行き交っているAが可愛くて笑いがこぼれてしまった。
｢結弦……？ あの女の子は…？いいの？」
え？ ミシェル？ もしかして見られていたのか？ すこしの不安を感じながらAの目を見つめる。
｢女の子？ A、見てたの？あの子はちょっと買い物に付き合ってもらっただけだよ」
少し疑いの目で見つめられているような気がする。そんなの誤解だと教えたくて、Aの白い額にそっとキスをした。
｢さ、起きて。リビングに行こう」
そう言ったものの、Aはまだ疑っているのかなかなか起き上がらない。嫉妬は愛の証拠だ。嬉しくなってすこし笑ってみせると、軽いその身体をふわりと持ち上げる。よいしょ、と掛け声をかけて、お姫様抱っこをした。
｢A」
リビングの椅子に向かい合わせに座ると、急に恥ずかしくなってしまった。それをごまかすように笑ってAの目を覗き込む。
｢俺はこれからも、ずっと、Aのことだけが好きだよ」
そう言ってガサガサと音を立てながら、先ほど買った洋服を取り出した。途端にAの目が大きく見開かれる。
｢え、……なんで」
｢だって今日、付き合って8年目の記念日だよ」
Aは、明らかに忘れてたという顔をしている。そんなAも可愛くて、じっと目を覗き込んで、唇に触れるだけのキスを落とす。
｢もうずっと俺は、Aのことだけ見てたよ。もうA以外、考えられない」
そう言って唇を重ねると、それがどんどん深いものになっていく。ずっと会えなかったこともあって、我慢の限界だった。またAを抱きかかえて、寝室のベッドに寝かし、服を脱がしていく。
｢結弦、」
何度も俺の名前を呼ぶAが愛おしくて。何？と言えば、Aが俺の鎖骨にキスを落としながら、首に腕を回して耳元で囁いた。
｢わたしはずっと結弦のものだよ」
お互いがお互いに与えられる優しい熱に浮かされながら、もう何度目かわからないキスを交わした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るみな(プロフ) - みのりちゃん！みのりちゃんってTwitterの垢消した？ (2014年9月19日 20時) (
レス) id: 02d437f7a8 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜(プロフ) - 愛さん» 遅れてしまいました、すいません。こんな感じでよろしかったでしょうか。よろしければまたリクエストよろしくお願いいたします！ (2014年8月21日 15時) (レス) id: d5267a70cb (このIDを非表示/違反報告)
紗夜(プロフ) - yuriさん» お家のお話ですね、遅くなって申し訳ありません、がんばって書いてみますので少々お待ちください。 (2014年8月19日 16時) (レス) id: d5267a70cb (このIDを非表示/違反報告)
愛(プロフ) - 日本選手との絡み！リクエスト答えてくださってありがとうございます！もうドキドキでした笑 (2014年8月16日 8時) (レス) id: e7a06dc620 (このIDを非表示/違反報告)
紗夜(プロフ) - はなこさん» こんばんは！ありがとうございます！うれしいですー＊ 書くのとても難しかったです笑 そう言っていただけるとすごくうれしいですー！ええ、そうなんですか！？ わたし羽生さんの次に町田さんがすきなのですが、わたしの世界観で勝手に町田さんを書かせて頂きました笑 (2014年8月14日 22時) (レス) id: d5267a70cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗夜 | 作成日時：2014年7月25日 13時
