第拾話「夢」 ページ12
__
「A 何故泣かないんだ」
これは夢だ。
杏寿郎はもう居ないのに目の前にいる。
隊服を身に纏い、いつもの羽織を羽織りながら困った顔をして。
「痛かったのなら苦しかったのなら何故泣いて助けを呼ばないんだ
幼い頃の私は余所者だと罵られ石を投げつけられていた。
それが背中に当たり、尖った石が私の皮膚を引っ掻いたのだ。
正直痛かった。
人間なのだから当たり前だ。
いつから泣かなくなっただろう。
いや
いつから涙が出なくなったのだろう。
本当は悲しかった。
杏寿郎が死んで。
どうして死んだのは私でなく杏寿郎なんだ。
どうしてもっと会わなかったんだ。
どうして最後まで兄と呼べなかったんだ。
いろんな気持ちが入り交じった。
気づいた時にはもう遅い。
私にはもう何も出来ない。
「杏寿郎は 私のことを恨んでいるのでしょう」
夢の中で問いかけた。
彼はキョトンと首を傾げている。
暫く悩んだ挙句、杏寿郎は微笑んだ。
「俺がAを恨んでどうするんだ」
いつの間にか
目を覚ました私は泣いていた。
291人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エリ(プロフ) - 面白かったんですけど、最後どうなったのか分かんないです。煉獄さんの妹の夢主はやっぱり死んでしまったんですか?どうして鬼になってしまったのかも分かりません。長文失礼しました。 (2019年7月17日 19時) (レス) id: 5baed310b5 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - 喩え貴方を喰ろうともの女の子と思われます (2019年6月1日 18時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ3(プロフ) - ゆゆ湯さんへ 多分この小説は捺稀さんの別の小説の主人公の女の子が最後に出ているかと思われます。 (2019年6月1日 17時) (レス) id: a84e4bce58 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - んんん!?私の理解力がないだけかもしれないですけど、最後の方で、夢主がフードを被った夢主と同じ名前の子に殺されましたけど、どうゆうことですか?? (2019年5月26日 20時) (レス) id: 8c0a43e225 (このIDを非表示/違反報告)
捺稀(プロフ) - 紅さん» 此方の作品も読んでくださったのですねありがとうございます。紅さんのコメントを見て私はいつも嬉しく本当に助けられています。このお話を読んで頂けて、挙句煉獄さんのことも好きになって頂けて、本当に本当に嬉しいです。最後まで目を通して頂きありがとうございます (2019年5月7日 23時) (レス) id: 49f76c2279 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:捺稀 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年4月19日 21時