【死柄木弔】俺の家族 (ページ34)

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◆ 黒霧side ページ34

死柄木｢黒霧、Aは何処だ…｣

バーでグラスを磨いていると、
Aが登校をして3時間後ぐらいに
死柄木弔が機嫌の悪い顔をし、首を掻きむしりながら私に尋ねた。

黒霧｢おはようございます。
Aならもう学校に登校しましたよ。｣

死柄木｢…はぁ…？
……アイツ…、何で俺を起こさないんだよ…ｯ!!｣

黒霧｢無理に起こしたくなかったのでしょう。
AはUSJ襲撃事件の時に負傷した死柄木弔を気遣って行った事だと思いますよ。｣

死柄木弔はムスッとした顔して
バーの椅子に座って顎を手に乗せていた。

死柄木弔が怒っているのは
Aが居なくて寂しいのと、｢行ってらっしゃい｣を言えなかったから。

Aが居なくて寂しいのは、
A自身もわかっているでしょうが、
｢行ってらっしゃい｣を言い損ねると不機嫌になる、というのはAには内緒にしておきましょう。

これは死柄木弔が密かに楽しみにしている事。

もし､この事が知られてしまっては
楽しみが薄れてしまうでしょうから。

、

Prrrr…Prrrr…

1人、バーでグラスを磨いていると、
私の携帯からAから電話がかかってきた。

2コール程で電話に出た。

A『黒霧～、弔の様子どう？』

黒霧｢やはり、お目覚めの頃にAが居なくてご機嫌ななめでしたよ。｣

あはは、とケラケラ笑う声と｢やっぱりか～｣と
仕方が無いな、と甘やかすような声が聞こえた。

A『…で、そんな弔達には悪いんだけど、
今日から暫くの間は帰らないから。』

先程のような明るい声ではなく、
突然真面目なトーンの声で喋り出すA。

黒霧｢…それは何故？｣

思わず聞き返してしまった。

多分、体育祭の事を指すのだろうと頭ではわかっている筈なのに。

A『いやいや、もうすぐ体育祭でしょ？
幾らあたしの個性が｢回復｣だからと言って、
練習しなかったら駄目じゃん？

それに、どの道体動かしてないと
弔の計画の時に上手く動けないし、
弔達の事を守れないでしょ？』

いつもと変わらない明るい声で話すA。

その言葉に少しホッとした自分が居た。

わかり切ってるはずなのに。

黒霧｢……分かりました。
死柄木弔にはそう伝えて起きますね。｣

A『ごめんね黒霧、お願いね。』

はい、と一言返事をして電話を切る。

そしてその事を死柄木弔に話すと、
朝よりも機嫌が悪くなってしまった。

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